【 山と食欲と私 ③/信濃川日出雄 】
【 うごかし屋/芳崎せいむ 】
小さな引っ越し屋さんの物語です。
でも、帯びにあるように、引っ越し屋ではなく、うごかし屋と呼んで下さい、とあります。
物を移動すのではなく、心を動かす、というコンセプトのようです。
そして、この引っ越し屋から提供されるダンボールには七色の色彩が施されており、それぞれに意味がもたされています。
浅黄色は食器、珊瑚色は洋服、鳥の子色は本、などというように。
そして、山吹色の箱には秘密が詰められます。うごかし屋は何があってもその中身は見聞せず、何事も起こらないように最新の注意を持って運びます。
決して引っ越しの技術やらなんやらを披露するお仕事マンガではありません。あくまで人間ドラマ。
時間との厳しいたたかいもあります。わずかな揺れが許されない仕事もあります。こんな場所を通れるもんか、なんて依頼も引き受けたりもします。
社長は2代目で、初代の突然死により家業を引き継がざるを得なかった、という事情もあるのでしょう。少しばかり頼りなく見え、ボーッとしている時などもあるのですが、本当は深く物事を洞察する力のある人です。
少数精鋭の社員が社長を全面的に信頼しているのも、大仕事のときには社長の一声で集まってくれる助っ人がいるのも、その人柄によるものです。
まあ、実際にこんな引っ越し屋があったらウザくてしょうがないでしょうね。荷物をきちんと運んでくれさへすればそれでいい、というのが現実でありましょう。
ですから、物語の中の引っ越し屋さんには、うざすぎるくらいおせっかいな「うごかし屋」がいてもいいでしょう。
当初、全3巻とご紹介していたのですが、芳崎先生ご本人から「全4巻です」とご指摘をいただきました。大変申し訳ありませんでした。
(テレキネシスや金魚屋も本当に全巻持ってるのか心配になってきました)
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さて、4巻です。
鉄の読書家っぷりは相変わらずすごいですし、それ故に過去の因縁を解き明かしたりもします。
怪力女子高生、真朱(まほそ)の活躍も見れるし、大きなうごかしのために、大量の助っ人が動員されるシーンも僕は好きなんです。
ゲストキャラではありますが、かつてステージで華やかなショーに出演していた女の子が、老人として登場します。この人物描写がまたよくて、「かつての美少女」を彷彿とさせる絵なんですよね。
ストーリーとしては、過去のお話などもハサミながらの、今度こそ本当の最終巻です。
さて、雑談です。
芳崎先生の作品との出会いは「金魚屋古書店出納帳」でした。
本当にたまたま掲載誌「アワーズライト」なる、見たことも聞いたこともない漫画雑誌を見つけ、なかなか肌に会うので、「毎月、買おう」と決意したのですが、わずか4ヶ月で休刊。
掲載作品の中で「特にお気に入り」だった4作のうち、実に3作までが移籍して完結しました。なかなかこれも珍しい。
ひとつは「エビアンワンダー」で、ゼロサムに移籍、完結。
「恋愛ディストーション」は、色々渡り歩いて、サンデーGXで完結。
残念ながら「紺碧の國」は、移籍することなくそのまま終了。
そして「金魚屋古書店」は、IKKIに移籍、完結。
アワーズライト誌は、ディープな感じで読者を選ぶよなとは感じてましたが、IKKIもそうですし、ディープさがゆるやかとはいえ、サンデーGXも傾向は似てると思います。
ともあれ、金魚屋をご縁に、読者をさせていただいております。
金魚屋については、また、いずれ。
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【 二度目の人生アニメーター ②/宮尾岳 】
【 ザ・シェフ ファイナル/加藤唯史 】
【 ワイルド7(セブン)/望月三起也 】
【 エクゾスカル零/山口貴由 】
【 このお姉さんはフィクションです!?/むつきつとむ 】
【 ミナミの帝王ヤング編/天王寺大・郷力也 】
【 すべてがFになる/森博嗣・浅田寅ヲ 】
【 流風/中垣慶 】
【 夢幻紳士 冒険活劇編/高橋葉介 】 +外伝
【 火の鳥/手塚治虫 】
【 銀河鉄道999 アルティメットジャーニー/松本零士・島崎譲 】
まさしく地球は滅びたのです。しかし、レイラは言います。鉄郎がその敵対勢力に敢然と立ち向かうなら、地球を万に一つの確率で地球を救えるかもしれない、と。そこには多くの困難と危険な戦いがあるが、それでも行くかと、鉄郎に問います。もちろん、鉄郎の答えはYESです。
鉄郎は新たな使命を帯びて、また999号で旅立ちます。
有紀学は、今度は護衛につきません。そのかわり、レイラから別件の指示を受けます。それは、不穏な動きをしていると思われる惑星エスメラルダへの対応です。現在のエスメラルダの統治者はメーテル。惑星エスメラルダは、機械化母星の崩壊で弱り切った機械化人を保護し、機会化人が静かに最後の時を迎えるための星になったはずなのですが…。
一方、鉄郎は新たな目的地へ999号で向かいます。最初の停車駅は「大王星」です。その999号を襲い、999号を守る空間シールドに穴を開けて、「敵」が乗り込んできました。地獄の聖母騎士と恐れられる戦士、ヘルマザリアです。彼女は、暗黒宇宙メタノイド大帝星の百人隊長です。999号ごと破壊することも可能だったのに、わざわざ「穴」を開けて乗り込んできたのだから、その目的は俺だと鉄郎は言い、車掌さんとクレアを下がらせます。
130億年以上前、宇宙開闢の時に、実はもうひとつの宇宙が誕生していて、それが暗黒宇宙であり、そこに住人が金属生命体メタノイド星人です。生存圏を広げるために、鉄郎たちの生きる「光のある宇宙」を侵略に来たと彼女は説明します。そして、鉄郎と決闘することになりました。
鉄郎は本能的に相手の強さをひしひしと感じています。勝てる気がしません。「男は負けるとわかっていても戦わねばならない時がある」というハーロックの言葉だけが、鉄郎の心の支えです。
3つ数えてからホルスターから銃を抜いて撃ち合う、という決闘のルールが決められました。
そして、その瞬間、どこからかヘルマザリアに向けた発砲があり、銃を握る彼女の手が撃ち落されてしまいました。鉄郎は助っ人に助けられたのです。大王星要人警護部隊「スタージンガー」でした。腕を撃ち落されたことでヘルマザリアは撤退、999号はスタージンガーに警護され、大王星に到着することができました。
スタージンガーも松本先生原作のアニメですが、自身がコミカライズしなかったせいか、999号の松本キャラ総出演的な場にこれまで登場していないように思います。もしかしたら、エターナル編の小説完結版には登場していたかもしれないのですが、そちらは読めていないのでわかりません。
さて、大王星に降り立った鉄郎は、意外な事実を知ります。おとぎの国のような美しい建築物が軒を連ね、繁栄を謳歌しているようですが、その建物群のほとんどは張りぼて。住民は、身寄りのない子供達とその世話をする「先生」と呼ばれる大人、数十人の技師、そして星を守るスタージンガーのような騎士たちのみです。
そこへ、ヘルマザリアが再び攻撃をしかけてきます。騎士としての誇りを持つヘルマザリアは決して標的以外を巻き込むような攻撃をしない。そう信じる鉄郎は、標的である自分が目立つことによって、町への攻撃を回避させようとします。
しかし、そこに邪魔が入ります。メタノイド百人隊長の一人、ツイスト・バレルです。ヘルマザリアに言わせれば、騎士としての誇りの欠片もない、目的のためには手段を選ばぬ男です。バレルはバレルで、ヘルマザリアの「古色蒼然としたその考え方にヘドが出る」と吐き捨てます。そして、致命傷にはならなかったものの、ヘルマザリアはバレルに撃たれ、一時的に戦闘不能に。その間に、バレルは大王星の王宮めがけて、大型戦艦対戦用の主砲をぶっぱなしたのです。その時、王宮からは大量のギャラクシーエネルギーが放出され、主砲を跳ね返しました。大王星を統治するオーロラ姫による、ギャラクシーエネルギーを用いたシールドが間に合ったのです。
バレルの所業に怒り頂点となったヘルマザリアは、鉄郎に「エスメラルダに行きなさい、そこにメーテルがいる」と言い残し、バレルに突撃します。
鉄郎は「先生」が大王星の統治者オーロラ姫その人であり、またオーロラ姫こそがギャラクシーエネルギーをコントロールして大王星を守護していることを知ります。オーロラ姫とは、ワルハラの神々の1人なのです。
そして鉄郎は、オーロラ姫、スタージンガーの3人、そして子供達に見送られながら、999号で大王星を後にします。
(191-727)
【 交響詩編エウレカセブン/BONES・片岡人生・近藤一馬 】
【 ミッションⅡ/中垣慶 】
作品タイトルは、わかりやすく書くと「ミッション2」ですが、もともとそういうタイトルで、「ミッション」とか、「ミッション1」という作品は存在しません。
物語の舞台は、「神戸フィルムアカデミー」という俳優養成所。将来的には「神戸フィルムカンパニー」として、世界に通じる娯楽アクション映画を製作するために、自らアクションスターを育てようという目論みで運営されています。
作家は神戸在住、舞台も神戸となれば、少しは宝塚歌劇も意識してるでしょうし、アカデミーを卒業すればカンパニーの作品にプロとして出演することもできるので、そのあたりは「ジャパンアクションクラブ」をモチーフにしてる部分もあるでしょう。
主人公は、成坂龍太、14歳。中学3年。未来のアクションスターを目指しています。
途中まで読者にも伏せられていますが、校長は成坂の祖父。日本人としても小柄で、それが逆に武器となり、アメリカでスタントマンとして活躍していました。
自らがアクターとなれば、大柄でいかにも屈強な男たちとの殺陣で、小男が活躍すれば当然目立ちます。すなわち、スターです。また、子役のスタントマンとしても需要があります。
業界では一目置かれる存在だったようで、その祖父が自らスターを要請し、映画まで創ろうというのですから、気合いが入ってます。
母親も(どういう活躍をしていたのかよくわからないのですが)身体能力が高く、龍太が幼いころから武道や殺陣を仕込んでいます。
アカデミーといっても、中学生だって入れるわけですから、義務教育とは別のもの。いわば、私塾です。土日や放課後に通います。そして、平日の昼間は中学校に龍太は通っています。そういう意味では学園ドラマです。
アカデミーでは通常の授業の他に、龍太のような実力のあるものはプロに混じって撮影やら舞台やらの機会もあるようです。また、中学校では文化祭で上映する8ミリ映画なんかにも出演します。
身体能力の高い龍太ですが、苦手なものもあります。それは、ダンス。武道や殺陣は母親から仕込まれていますが、ダンスは教わっていません。変拍子を含む音楽のリズムに合わせての舞台上での殺陣にはかなり苦しむシーンなんかもあります。
僕も仕事の関係で、そういったステージものに携わることがありますし、自らも楽器を演奏する機会も、中年になってから恵まれたので、多少は作品のいわんとする所は理解できるのですが、少年誌連載で読者がよくこれについてこれたなあと感心しています。
でもまあ、変拍子という言葉そのものは、「ガラスの仮面」や、槙村さとる先生の「ダンスジェネレーション」だったかなんだったかそんなタイトルの作品にも出てきていましたから、なんとなく「難しいんだろうな」位には思ってましたし、通じてたんでしょうね。
僕の楽器パートはパーカッションと名乗ってますけど、マリンバなんかの鍵盤打楽器ができるわけでなし、純粋なリズム隊&オカズ隊なんですけど、変拍子ってほんと、むちゃくちゃ難しいって、やってみて初めてわかりましたよ。
さて、この「ミッション2」ですが、350ページほどの太いこミックスで全3巻(大都社版)のようです。そして、手元にあるのは2巻のみ。作品の始まりも、クライマックスも知りません。
最初から最後まで読んでみたくなって、ネット検索してみたら、少年画報社版全5巻が出品されてましたので、さっそく注文してみました。
ネットの無い時代だったら絶対入手不可能でしょうね。
行動半径内に在庫のある書店があるかどうかすらわからないんですから。
12/31までには届くようなので、お正月娯楽として楽しみにしておきます。
※ もとはH30/12/27にラインブログに掲載した記事です。現在では、全5巻、所持しています。