漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 KOUSHOKUダンディ/柳沢きみお 】

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 1巻のみ所持してます。
 売れっ子とまでは言えないものの、そこそこ連載の注文も来るエッセイスト、創石夏雄という作家が主人公。


 彼の日常生活にズケズケと入ってくるお騒がせ人物たち、職業柄その多くは担当編集者なのですが、そのお騒がせキャラたちに翻弄されながらも、 マイペースで過ごす創石の日々を綴った漫画、というところでしょう。

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 主人公のモデルは、おそらく作者。自分自身の「想い」と「現実」に加えて、こうありたいという理想像を創石に込めて描かれていると思われます。

 その生き様は、柳沢きみお先生の語る人生哲学ともいえるように思います。 

 作中に登場する編集者達をもっとクローズアップして描き込めばストーリー漫画としての面白さが出てくるはずですが、多くの場合はきっかけと結果しかありません。

 なぜなら、それらは創石に人生哲学を語らせるための、ネタ振りでしかないからで、メインは創石の想いや言葉の数々だからです。 
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 基本スタンスは「大市民」とイコールに違いありませんが、終盤大市民は語りばかりになってしまいます。コマ割りはされているものの、文字ばかりの漫画になってしまっていました。

 それを回避するには主人公をすげかえて、路線をすこし変更する必要もあったでしょうし、 大市民と同じ主張を一から語り直すことができるという利点もあります。

 しかし、ただ創石の想いをぶちまけるだけの一方的な押し付け漫画などではなく、若い編集者の反論にも「それもまた、ありだよね」的な態度をとる創石には、懐の広さを感じます。 
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 さて、タイトルのKOUSHOKUですが、そこには好色と好食の意味があります。

 とはいえ、中心は「食」。「色」の方は事実上の引退宣言のようなことが描かれています。とはいえ、イイオンナをイイオンナと認めることができる程度の「好色」はあります。 

 ただ、人妻や彼氏持ちには手を出さないという信念(あるいは、世渡り術)があるだけなのです。

 ところで、私はこの作品、1巻しか所持していません。

 本は私にとって、書店の書棚から選んで買うものという、こだわりがあるからです。 

 いずれ注文で取り寄せないとどうにもならないんだろうなと悟ることになるでしょうが、書店の書棚から買うというのは、前作「大市民」の主人公「山形(小説家)」の極度のこだわりと根っ子は同じだよなと、一人悦に入ってる次第です。 
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