【 キカイダー02/石ノ森章太郎・MEIMU 】
子どものころ特撮番組で観てました。仮面ライダーより好きだったかもしれません。
放送順は、「キカイダー」「キカイダー01」だったはずですが、この02は、01の続編ではなく、「キカイダー」「キカイダー01」を包括したリメイクです。
漫画版「キカイダー」は存じ上げないのですが、「キカイダー02」は漫画版を下敷きにしてるようです。
石ノ森作品は、ギルガメッシュでもそうですが、雷を伴った嵐のシーンで始まることがあり、そのトリビュートなのでしょう、MEIMU先生のキカイダー02においても、そうなっています。
キカイダーの生みの親である光明寺博士の娘で、やはりロボット工学の研究者であるミツコを中心に話が展開していきます。
敵役の、ダークのプロフェッサーギルは、ロボットによる人類滅亡を目論見ます。地球環境はこのままでは破壊される一方なので、まだ地球に余力があるうちに、いったん人類(どころか、あらゆる生物)が住めない環境にまで悪化させ、その後、自然治癒力で地球を再生させようという思想です。
その時に、自身だけが生き残り、新しい種のタネを撒くために、光明寺博士に絶滅寸前の種を模したロボット13体を作らせます。また、自身が生き残るための装置がハカイダーです。
世界征服を目論む悪漢とは違うわけですが、ある種のマッドサイエンティストですね。
そんな狂科学者に光明寺博士が協力したのには、わけがあります。息子イチローの死です。イチローは環境保護活動をしており、公害を垂れ流す企業の決定的な証拠を掴みに出て、殺されました。
そこで光明寺博士は、「絶対死なない強い人造人間」を作る決意をするわけですが、そこにつけこんらギルは資金や施設を提供し、自らの野望を叶えんとします。
それに気づいた光明寺博士がキカイダー02に取り付けたのが、良心回路です。悪い命令には従わないという回路です。ただし、不完全なものであったため、 変身前はギルの笛で狂わされてしまいます。
子供の頃に見たキカイダーでは、「リョウシン回路」の意味がわからず、「未完成な部分があるから弱点がある」くらいにしか理解していませんた。
殺されたのがイチローなので、その後、自ら作った人型ロボットをジローと名付け、 02のコードがあたえられてるわけで、テレビ版「キカイダー01」の続編、という意味ではないのです。
ところで、この作品にも、01は登場します。
元は光明寺博士の手によるのですが、巨大ロボット化してしまい役に立たず破棄されていました。
その設計図を元に気の触れた坊主が6体のキカイダー01を作成、寺を訪れたミツコと02を襲います。この戦闘で02は辛くも勝利します。そして、その残骸を集めて、新しい機能も加えて、ミツコは1機の01を作成します。
一方、ハカイダー。脳みそ丸出しの悪趣味なデザインですが、ここには死んだイチローの脳が「飾り」として納められています。いずれはギルが、ハカイダーのボディに自らの脳を納め、永遠の命を得るこを目論んでいました。
イチローは死亡しましたが、諦めきれない光明寺博士によって、脳は損傷をうけておらず、わずかに活動していることがわかります。
光明寺博士にとっては、このわずかの脳の反応が一縷の希望だったのです。
そして、徐々にその脳は覚醒し、ハカイダーはギルの思うがままにはならなくなってゆきます。
さて、ギルが率いるダークとは別に、シャドウという組織も登場します。
正体不明で、おそらく古くから地下組織として存在し、環境保護に名を借りたテロをおこなったり、様々な非合法活動で世界征服を狙っています。
変身ヒーローの登場する勧善懲悪ものとすれば、ダークよりシャドウの方が闘う相手としてはふさわしいかもしれません。イチローも環境保護運動を続ける中で、この構成員だったのではないか、という疑念が呈されています。
しかし、キカイダーの適役はあくまでダーク。
ラストに近くでは、量産型ハカイダー(ダーク)と、キカイダー01、02、ハカイダーとの対決になります。
そして、最後の敵は、全てを無にするという最終兵器。
これを作ったのはギルではなく、なんと光明寺博士、そして、システムを操るのは、ミツコの妹、ヒナノでした。
最終兵器ナノマシンが、文明を無へと帰すため、侵食していきます。ナノマシンが文明を侵食したら、人類は滅びます。
それで、結局?
最後はどうも、駆け足でエンドマークを見せられたような気持ちになりました。
ラスト7ページは、本当なら30ページくらいかけて、もっと強いメッセージを読者におくってほしかったかな、とか思いました。
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