漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 ワールドエンブリオ/森山大輔 】 

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 ずっと気が付かなかったのですが、1巻帯に「SF伝奇ジュブナイル」とあります。

ジュブナイル」とは、ずいぶん、懐かしい表現です。まだ、「ライトノベル」というジャンルの呼称がなかった時代、少年少女向きの小説が「ジュニア小説」とか「ジュブナイル小説」呼ばれていたのですが、今でも死語ではなかったようです。当時からジュブナイルのジャンルで活躍されている作家さんもおられますが、「純文学」や「官能小説」や「SF」の作家さんが、少年少女向けに執筆されたものもそれなりにあったんですよね。あと、アニメの脚本家なども参加されていました。それを専門分野とするレーベルも、「コバルト」や「ソノラマ」などがありましたが、一般の文庫やノベルズ(新書)などにも、読者層をそれと意識した作品が多数あったように思います。

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 さて、「ワールドエンブリオ」ですが。1巻から買い始めて、少し読んだのですが、ちょっとよくわかんないぞコレみたいな印象。4巻まで購入はしたものの、1巻の半分くらいしか読んでいませんでした。

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 で、改めて読み直してみました。正直、1・2巻はさほど面白くはありません。「柩守」と呼ばれている化け物化した人間が、一般人を襲い、「刃旗」という特殊能力を持った民間機関が統括する戦闘部隊がその「柩守」を殲滅するために活動している、という出だしです。そこに、一般人で主人公の「天海陸」が巻き込まれていきます。

 柩守は吸血鬼のように感染し、感染した人間は柩守になるのですが、感染方法が「吸血鬼」とは違い、「携帯電話」です。陸を守ってくれた武部洋平も刃旗の1人で、陸の同級生の有栖川レナ(もう一人の主人公。かなり可愛い。ツンツンに限りなく近い若干のツンデレ)のパートナー。

 洋平は死に際して陸に刃守の能力を授け、陸は好むと好まざるとに関わらず、この戦闘に巻き込まれていきます。

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 様々な過去が語られ、物語の世界観が示され始めるのが3巻。なぜ戦わなくてはならないのか、などの因縁が少しずつ語られ始めるのが4巻。3巻以降、断然、面白くなっていきます。でも、その4巻までしか所持していないのです。

 本誌「ヤングキングアワーズ」を購読しておらず、表紙だけ見て買って「失敗だったなあ」と放置していたのですが、改めて読んでみると、4巻までしか持っていないのが非常に悔やまれる作品です。

 細かい後付けはあったかもしれませんが、基本的には全体構想がガッチリ固められてからの連載と思われ、グラグラ物語が揺れないのがいい。全13巻と程よい量ですから、きっちり設定を説明し、伏線を回収しきって、一つの立派な作品に仕上がっているのではないかと思われるのですが、一度途中放棄しており、今から集め直すだけの気合いは、ちょっと入りそうになくて、ごめんなさいです。



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