【 東京旅さんぽ/山口よしのぶ】
「やりたい。ムラムラする」と思わず声を出してしまったのは、なんと女性教師。しかも、学校の中です。
いえいえ、セックスのことではありません。実は彼女、学生時代には旅行愛好会に所属し、あちこちとびまわっており、就職してからはなかなか旅に出られなくて欲求不満なのてす。
旅行愛好会出身の先輩であり、ハンドメイ作家の江戸川に、なかなか旅にでられないことを愚痴ったところ、江戸川から「旅さんぽ」なるものを提案されます。
行き先は東京都内。彼女たちが在住する地域です。「旅というほど遠出」ではなく、「散歩というほど近場」でもない。たから旅さんぽなんだとか。東京は世界から旅行者が訪れる「大観光地」でもありますしね。
この作品に対するネットの評では、「食べる方に片寄りすぎてる」「有名店ばかり」と、あまり良くない評価もありますが、関西人の私にとっては、未知の場所、施設、食べ処など、知らない所もたくさん出てきます。むしろ知らないことがほとんどでした。
最初は女2人旅ですが、同行者も少しずつ増えます。なぜか「女子会しばり」があるのですか、それは漫画だけのこと。男子禁制の場所をめぐっているわけではありません。
題材が題材なので、申し訳程度の起伏はあるものの、大きな起承転結、波乱万丈はないと理解しておくのが無難です。
取り上げられたところを列記します。
紀の善/毘沙門天/兵庫横丁/マグネットポイント/ふくねこ堂まかないまかないこすめ/熱海湯会館/東京理科大学近代科学/ルグドタオル・プジョンリヨネ/WOOWAMAN/十間橋/スパイスカフェ/吟味/さくらカフェ向島/牛嶋神社/埼玉県小梅/言問団子/志満草餅/菓匠青柳正宗/ファイヤーハウス/一葉の井戸/旧伊勢屋質店/鳳鳴館……etc
これで1巻の半分にもなりません。すごい紹介量です。
観光案内所でもらえるようなイラストマップが本編に挿入されてるのも良いですね。
連載の終了後か、あるいは連載を中断して途中に挟む形で、「大阪旅さんぽ」だの、「福岡旅そんぽ」だの、地域を変えてシリーズ化もされるだろうなと期待していたのですが、いまのところ、うんともすんとも、です。
(26-90)