【 オンラインな彼女／むつきつとむ 】

　オンラインで知り合って待ち合わせしてるはずが、「えりな」はやってきません。

　すっぽかすような感じではなかったのになあと思ってるところに、おずおずと現れたのは、ショートボブ、地味眼鏡、小柄で童顔の子。ネットでのやりとりはそれなりにエロいのに、お茶しにいっても話は盛り上がらず、ネットナンパ師を自称するコウも、こりゃあ無理かなと思い始めました。しかも、お酒に誘っても「のめないんです」とくりゃ、ゼツボウテキ。

　と、思いきや、えりなはコウの肩をつかんで、ちらちらとラブホへ視線を送ります。

　そこからはコウの思う壺？

　いえいえ、えりなの思う壺です。始まってしまえは、えりなの性格は豹変します。

　ネット上でのやりとりと、実際のエッチでは本性丸出しのえりな。

　でも、デートの時は、恥ずかしくて手をつなぐどころか、少し離れて歩くほどの恥ずかしがりやさん。

​　なるほど、これではリアルに告白もできないだろうし、まして、ナンパを受け入れるのも無理でしょうね。お茶くらいはお付き合いしても、男の方が白けてしまいます。

　彼女にとっては、ネットナンパ即エッチが、本来の欲するスタイルだったのでしょう。

　現実にそんな子がいるのかどうかは知りませんが、ある種の男の欲望を見事にキャラとして造形してます。

　表題作ほか2編収録の作品集です。

(209-827)