【 沈黙の艦隊/かわぐちかいじ 】
一時期、毎週コミックモーニングを欠かさず購入していました。その時に連載されていたのが、この「沈黙の艦隊」でした。
既にストーリーはある程度進んでいたものの、全く理解できない、というわけではありません。たった1艇の潜水艦で、世界に対峙していることとか、本当に原爆を積んでいるのか、それともブラフなのかがわからないことが、作品の緊張感を生み出している、とか。
でも、どうしてもわからないこともあります。
「なんで、こんなことになってるの?」と、いうことです。これを知るためには、最初から読まねばなりません。
最初だけ読んだらわかる場合と、それだけではわからない場合とがあり、これは作品の演出や構成の問題ですが、沈黙の艦隊の場合は、「わかる」タイプの作品です。(逆に、わからないタイプの作品としては、最近のものでは、「蒼き鋼のアルペジオ」ですね。)
さて、物語のきっかけでありますが、日米共謀で極秘に作られた原子力潜水艦の乗組員を確保するために、海上自衛隊のとある潜水艦が事故を起こしたことにされます。これは実は偽装で、事故を起こした潜水艦の乗組員は表向きは全員死亡ということにされ、実際はこの極秘の原潜の乗組員となるわけです。
しかし、この乗組員たちは、日米を裏切り、独立国家を宣言して、世界と対峙することになるわけです。
というわけで、コミックスの1巻を買って、なんでこんなことになっているのかはわかったわけですが、もうひとつわからないことがあります。それは、「なんのためにこんなことをしているのか?」です。最初から「なんのために?」が示される作品(例えば、グラップラー刃牙のように)もありますが、やはり演出や構成上、なかなか示されない作品もあります。沈黙の艦隊は、最後まで読まないとわからないタイプの作品といえるでしょう。
というわけで、全部、持ってます。しかし、何冊か手元に見当たらなくなっています。まあ、どこかにあるでしょう。
沈黙の艦隊の最終的な目的は平和。
核兵器をどこかの国が使えば、報復するぞ、しかし我々は潜水艦(国土を持っていない)だから、逃げれば再報復は不可能、しかも、沈黙の艦隊を滅ぼしたところで、その国家には何のメリットもない。
おそらくそういう「抑止力」だと僕は考えるのですが、作者の主張とはまた異なるかもしれません。
詳しく書くと長くなるので、大きく省略していますが、最終目的地へ向けての航行において、沈黙の艦隊「やまと」は、いくつかの対抗勢力と対峙し窮地に陥ったり、協力者により助けられたりしながら、航行を続けます。
最終的に沈黙の艦隊は、国連総会の場に乗り込みます。国連総会では、独立国家「やまと」は否決されますが、その理念は理解されたり、歓迎されたりもします。
この潜水艦の寄港に協力を申し出る国もあり、そのうちのひとつに向かって、「沈黙の艦隊」は出港します。
世界に本当の平和がおとずれるその日まで、自称「独立国家やまと」は、存在し続けることでしょう。
全32巻で、完結です。
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