【 ももんち/冬目景 】
あとがきに「目指したのは昔の少女漫画です」と、あります。なるほど、そーなんですか。
美術予備校に通う女の子、桃寧(ももね)を主人公にした、春、夏、秋、冬、そして2度目の春の5つの物語。
絵のお勉強をしたり、男の子との出会いがあったり、モチーフに使った生きた鶏を飼う羽目になったり、風邪をひいたり、大学に合格したり、恋が実ったりする叙情的なお話。
どこに置いていたのか、カバーは随分、日焼けしてますが、中身のカラーは色褪せてはいません。本当に綺麗な色使いです。古くからある日本の染め物のような中間色がたまりません。
色使いのステキな方のカラーページは、いいですよねえ。
漫画でも小説でもドラマでも、意外と簡単に男女がくっついたりしてしまいますが、この作品は、そうではありません。
そりゃあそうですよね。そんなに簡単なら、誰も悩んだり苦労したりしませんし、成就したときの喜びもたいしたことないでしょうから。
でも、だからこそフィクションの作品では、そういうことが簡単に発生し、読者はそのドラマを楽しむ、ということになのでしょう。
んー、でも、じれったくたて歯がゆい物語りも、またいいものです。
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