【 あいカギ(2回目)/犬上すくね 】
「あいカギ」3巻入手。これで完結です。
見た目は中学生くらいの女の子キイちゃんが、カギの化身(?)ケンとともに、心のカギを開けていく物語。
ケンは普段、小人サイズです。人間サイズに大きくなることもできます。心のカギを開ける時は、「鍵」の形になり、キイちゃんによって鍵穴に差し込まれます。
心に何かを抱えて、言いたいことが言えずにいる人間をキイちゃんとケンが見ると、胸に鍵穴が見えるのです。
その穴へ鍵を差し込んでがチャリと開けると、言えなかったことが言えて、ちょっと人生が変わります。
そんなちょっといい話的なファンタジーかな? と初期は思うのですが、鍵を開け続けると、キイちゃんとケンにとって、何か素敵なことが、おこるらしいのです。でも、その素敵なことがなんなのか、2人にもまだわかっていません。
↓ 1・2巻のレビューはこちら。
http://zukuzuku.hatenablog.com/entry/2019/01/13/010819?_ga=2.140603250.1525930237.1547132955-989717363.1519075892
3巻では、ついにその素敵なことが起こります。(以下、ネタバレ)
キイちゃんは、太平洋戦争の時に、恋人を失っていました。徴兵され、戦死したのです。後追い自殺も考えましたが、もし戦死の報が間違いで、ひょっこり帰ってきたらと考えると、それもできません。
月日が流れ、そのうち別の男性と結婚し、子や孫にも恵まれます。ただ、戦死したであろう想い人のことは、誰にも話せず、ずっと心に抱いていました。
その恋人からもらったプレゼントがありました。鍵のかかる小箱です。もう少し大人になってから開けるように言われ、小箱の鍵もあずかっています。キイちゃんはその、小箱を庭に埋めたままになっています。別の人と結婚していますから、その小箱のことも自分の胸にだけ秘めています。
そのキイちゃん、本体は病院のベッドです。危ないかもしれない、とお医者さんからは言われています。
そのせいでしょう、病床のキイちゃんの分身(?)・精神体(?)ともいうべき、素敵なことを探して鍵を開けまくってる少女の方のキイちゃんも、消えかかっています。
心に鍵がかかってないのに、ケンの姿が見える「あやめ」という女性がいます。
鍵の化身ともいえるケンも、キイちゃんが消えかかってることを心配しています。
そして、ある時、キイちゃんの胸にも鍵穴が現れます。作品内では語られませんが、本体(病床に伏せるおばあちゃん)のキイちゃんが、このまま何も語らずに死にたくはない、と強く思ったのでしょうね。
あやめが鍵の姿になったケンを、キイちゃんの鍵穴にぶちこみます。
このケンという名の鍵こそ、キイちゃんが戦死した恋人にもらった小箱を開ける鍵で、ケンの魂が込もっています。
いま、ようやくキイちゃんとケンはひとつになれたのです。そして、キイちゃんもケンも、想いを伝えあって消滅します。
病状が回復して退院したキイちゃんは、孫のあやめに、頼みごとをします。あやめはキイちゃんの孫だったから、ケンの姿が見えたのでしょうね。
頼み事とは、庭に埋めた小箱を掘り出すのを手伝ってほしい、というものでした。
鍵はキイちゃんの手元にあります。掘り出した小箱の中からは、婚約指輪が出てきました。
この指輪にまつわるお話があと少しあるのですが、キイちゃんとケン君のお話はこれでおしまいです。
まさか戦争の話が出てくるとは思いもしませんでした。でも、戦争で恋人を亡くした人が、現在を舞台にした作品の中で生きた人物として登場させるのは、そろそろ限界で、タイミング的には最後のチャンスくらいの時期なんでしょうね。「絶対可憐チルドレン」でも登場してますが、超能力者で若い姿を保てるという設定ですから。
ケンとキイちゃんの正体にふれる話に至る前に、3巻にはこれまでどおりの、鍵開けエピソードも掲載されてます。
三股してる最低男の話はともかくとして、恋愛ディストーションのメインメンバーも登場します。ヤングキング系列の恋愛ディストーションと、サンデーGXの恋愛ディストーションの間をつなぐお話、なのかな?
やっぱまほ先生、かわいいわー。
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