【 ねじ式/つげ義春 】
日本の漫画史上に燦然と輝く奇作です。いつかは入手したいと思ってましたが、燦然と輝く奇作ですから、そのうち手に入るだろうと、焦ってもいなかったんですよね。
しかしまさか、コンビニ廉価版が出るとは思ってもいませんでした。
自薦集のタイトルになり、かつトップに来るところを見ると、「ねじ式」は自他共に認める代表作、ということなのでしょう。
で、「ねじ式」とは、こんなお話です。
メメクラゲ(「XXクラゲ」が誤植されたらしいです。メメクラゲなんてクラゲはいません)に襲われて腕の血管がちぎれ、その部分をもう片方の手で押さえていないと血が吹き出るというゆゆしき事態の中、主人公は医者を探します。しかし、医者の場所を訊いても村の人達は協力的ではありません。
自分で医者を見つけるしかありません。町中を歩いていると、開業医はたくさんあります。しかし、眼科しかないのです。
最終的には産婦人科医とセックスしながら外科手術を受け、ちぎれた血管をネジ止めされてしまい、主人公は出血多量で死亡するという最悪の事態は避けることができました。
でも、その血管は体外に飛び出しており、その部分にねじ止めされてしまうんですよね。
普通は縫合して腕の中に入れるだろ? とか、産婦人科って外科範疇で、血管の縫合なんて軽くやってのける技量があってしかるべきだろ? とか、まともな、突っ込みを入れてはいけません。
なぜなら、これは、わけのわからない作品だからです。
様々な批評が存在するらしいのですが、私には作者が「わかったようなことを言うな。これはもともと、わけのわからない作品なんだよ。どうしてそれがわかんないんだろうね?」と、言ってるような気がします。
しかし、我々もこういった支離滅裂な経験、してるはずです。そう、夢の中では。
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