漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 ラブスタ/佐野タカシ 】

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 カバー絵の女の子の色っぽさが、いかにもエロ満載な雰囲気を漂わせていますが、さほどでもありません。ジャンルで言えばラブコメなんでしょうけれど、結構シリアスです。
 青年誌ラブコメなので、少年誌に比べたら、そのものズバリなシーンもありますわなあ、程度です。 

 主人公の生田一馬は、大手人材派遣会社の新入社員。指導を担当する先輩社員の綾瀬陽子には恋人(婚約者)がいるものの、お酒を呑むとぐでんぐでんになるタチで、それがきっかけで、オトナな関係に…なりそうで、なりません。
 一方、一馬は、登録している派遣スタッフ有栖川敦子とデキてしまいます。初期は、仕事は有能だけれど、心が不安定気味で、男に依存しがちな女性という描写がされますが、2巻後半からは、それなりにきちんと色々なことを考えてる女性にイメージが変わってゆきますね。 

 そしてなにより、この物語のキーマンになるのが、一馬の営業先の人事担当をしてる波田洋平です。
 新入社員である一馬に与えられた最初の試練は、2週間で一件でいいから、飛び込み営業で契約を取ってくること。でも、門前払いの連続です。

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 やっと会って話を聞いてくれたのが、洋平なのですが、「お前の薄っぺらな笑顔が信用できない」なんて言葉を浴びせる嫌なヤローなんです。

 でも、最後に、一馬をとある行動に駆り立てたのは、洋平の言葉がきっかけでした。
「人生、何を選択したところで、後悔しないなんてことはない。 残酷だが、それが生きることだ。オマエの選択だけで世の中回ってるワケじゃねえ。だが、何を選択するかくらいは、テメーの自由だぜ」

 会社を辞め、恋人について海外に行き、そして結婚しようとしている陽子を、空港まで追いかける一馬。 
 渋滞で身動きできないまま、携帯電話で「行くな」と、伝えますが。

 フライト時間にはついに間に合わず、展望デッキから飛行機を見送る一馬でしたが、その背後には…。陽子は飛行機に乗らず、一馬を選んだのでした。

 あら、最後までかいちゃった。
 短い作品ですし、予定調和な感じもしますが、複雑に過ぎる物語より、独語の気持ち良さがあって、こういうお話は好きです。


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