【 てつボン/永松潔・高橋遠州】
二世議員で鉄道ヲタクの主人公が、鉄道への深い造詣と愛情によって、魑魅魍魎たる政治の世界を予想外の手法でのりきっていくお話。
父の急死で、その気もないのに地盤を受け継がされ、仕方なく始まった政治家生活ですが、鉄道や交通を通じて築いた人脈を生かすのはもちろんのこと、人柄の良さもあって多くの人に受け入れられてゆきます。
作風としてはのんびりした絵柄ですが、そののんびりした絵柄に読者は不意をつかれます。ある意味、主人公仙露鉄男が、痛快な逆転劇を繰り広げる作品でもあります。なにしろ、百戦錬磨の化け物たち(政治家)をも手玉にとったりするんですからね。
巧みに時事ネタや鉄道蘊蓄を取り入れられて、人気の定着した作品といえるでしょう。
全部は紹介しきれませんが、比較的新しい巻からいくつか。
18巻では、パナマ文書、待機児童問題、北海道新幹線などが取り上げられています。
19巻は、群馬がクローズアップされていて、碓氷峠、鉄道文化むら、上信鉄道、上毛電気鉄道、わたらせ渓谷鉄道などが出てきます。
20巻は、特急ひだ、明知鉄道、長良川鉄道、レールマウンテンバイクが、21巻では熊本・南阿蘇鉄道の復興のことも。「忖度」なんて流行語がそのまま話タイトルに使われたりもしています。
22巻は、駅弁参入の困難さ(駅弁は値引き販売ができないなんて、初めて知りました)、フリーゲージトレイン断念の話題、なんと単線新幹線構想まで。
仮想通貨このとも、とりあげられています。
(22巻まで)
(147-540)