【 霊能バトル/小山田いく 】
少年チャンピオン連載の小山田先生の作品、全3巻です。コメディーとオカルトの要素が強い作品。
中2のタミー、親が転勤の多い職業のため、転校はせめて1回ですませてあげたいと、親戚の家に預けられ、そこから学校に通うことになります。
その家には従姉妹で同級生のサイがいます。彼女は霊能力者として、中学生ながら既に依頼をこなしていました。そのサイの助手としてひっぱりまわされ、タミーはだいたいひどい目にあいます。
そもそもサイの霊能力が胡散臭いもので、「触れただけでフロッピーディスクのデータが消えた。私はだから超能力者」と名乗る少女(依頼主)は、実は磁気のあるバックルつきのベルトをしていて、そのせいでデータが消えた(霊能力にすら無関係)とか、地震でもないのに家が揺れるから霊障だと主張する依頼主の家に行ったら基礎がしっかりしてなかっただけだとか、科学的根拠のある事例が続くのです。
しかし、物語が進につれて、サイには霊能の師匠がいること、実際にお祓いなどする能力があること、初めて行う術が成功するなど、やはり霊能力者であることが徐々に示されていきます。
一話読み切りスタイルで、事案や事件を解決していくなかで、協力者や敵対者があらわれるのは、ある種のお約束的展開。
活動を続けるうちに、サイにも仲間(?)ができてきます。まず、水晶占いのアンリ。仲間といっても出会いは最悪でした。二人にはテレビ出演の機会が与えられたのですが、もう最初からいがみあったような状態です。
それから、事件絡みっぽいときに登場する三途の川刑事。サイのことは、心霊ごっこをして捜査活動をじゃまするヤツとでも思っているようです。
トシというキザっぽい占い師は、僕の好きなキャラではないので、省略。
そうそう、お仲間には人間だけでなく、幽霊も加わります。いかつい風体のオッサンだけれど心優しい菩提さんに、かわいらしいリンネちゃんです。
さて、タミーには実は、サイが霊能力者であるなら、頼みたいということがあって、いわばギブ&テイクの関係を作ろうとしていました。
それはかつて海で出会い、地震と津波でそれっきりになってしまった少女を探して欲しい、という想いでした。その調査を霊能力者に依頼するのですから、一定以上の確率でその少女はもう死んでいるという覚悟もあったんだと思います。
そしてタミーは徐々に、探し求める女の子に近づいていきます。
タミーは思い出の少女に会えるのか?
小山田先生の作品は、順次復刻されていますので、興味のあるかたは、そちらでどうぞ!(既に復刻されてるのか、これならなのか、調べてないですごめんなさい)。
全3巻と短いながらも、小山田先生らしい作品だと、私は思います。(本当はもっと短い(全1巻)「きまぐれ乗車券」、とか、すげー好きなんですけどね)
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