【 探偵学園Q/天樹征丸・さとうふみや 】
物語は中学生のクラスメートが進路について雑談しているところから始まります。
見た目は多少かわいいけれども、これといった取り柄のなさそうな、華奢な少年キュウが、「探偵学園」を受験すると宣言します。
探偵養成の為に作られた、才能ある者しか入学が許されないこの「探偵学園」、我こそはと思う頭脳のエリート達が受験のために集まってきました。そして、早速、試験開始です。
事件の概要説明のあと、容疑者候補6人が壇上に立ちます。コイツが犯人だと思う者を尾行し、正解ならその先に試験の第二会場が用意されてるとのこと。
試験会場で知り合ったり、尾行中にお互い受験生だと名乗り合ったりして、自然と共同戦線が構築されるなか、キュウたちは犯人(とおぼしき)人物に迫ります。さて、正解は?
校長ほ、現役時代にゆいいつ拳銃の所持を許されたとされる伝説の大物探偵。
試験に合格し、入学が許されたキュウ達は、やがて実践投入されていきます…。
また、謎解きの宿題を出されたりもします。
その上、普段の活動や試験の成績によって、クラス替えなどもあって、探偵学園の生徒たちにとっては、緊張の連続。
金田一やコナンはじめ、いわゆる推理ものの、最大の弱点というか、難点というか、ふっと覚めてしまう瞬間があります。
それは、「刑事もの」じゃないんだから、素人の一般人がそんなに次から次へと殺人事件に遭遇するわけねーだろ?」と感じたときです。
そこは目をつむって、フィクションと割り切り、純粋に読者として楽しむのが、読者としての礼儀でもあるわけですが、少しでもその「冷める瞬間」を回避する工夫がなされていると、やはり感心します。
「探偵学園Q」は、それができている数少ない作品ですね。
まず校長が伝説の名探偵ですから、事件が持ち込まれる、というシチュエーションを自然に作れます。また、探偵学園なんですから、自ら事件現場にクビを突っ込んでいく、というのも、さほど違和感がありません。
本物の事件もありますが、謎解きそのものは、「過去にあった話の解決」を課題として出されることもあります。
そして、子供たちだけで危ない事件にクビをつっこませるのではなく、学園講師で現役の探偵が「見守り」役としてついたりもします。
ここまでやれば、物語としては十分だと思うのですが、みなさんはいかが思われますか?
全22巻と、プレミアム巻、そして、ファンブックというべき「ザ・ラスト・ミステリー」巻の24巻の構成です。
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