【 あひる/樫田正剛・楠本哲】
この方の漫画には、ヤクザなどアウトロー怖い系のキャラと、ホームドラマ系キャラの描き分けがあるのですが、この作品は基本的に後者です。
でも、かわりに時々、とんでもない人物が登場します。そのとんでもない連中に翻弄される話です。
6歳のりつ子は、家族でおでかけしているある日、カメラマンから写真を撮らせて下さいと声をかけられました。謝礼はたった2千円。しかし、街角で見つけた未来のスターという雑誌の特集に掲載されたことで、運命が動き始めます。
りつ子はスターを夢見、母親はステージママに変貌をとげてしまいます。
しかし、悪質なプロダクションに騙され、レッスン料やオーディション料をとられた挙げ句、そもそもオーディションそのものが出来レースだとわかります。そして、母親は重病で入院。医師の話では、退院することはもうありえない、と。
そのため、父親である耕三が、ステージパパにならざるを得なくなります。
しかし、悪質なプロダクションのやり口に、耕三はりつ子をプロダクションからやめさせます。これで、芸能界への道筋は閉ざされてしまいました。
でも、娘の夢は叶えてあげたい。唯一のコネといえば、最初に声をかけてくれたカメラマンのみ。相談すると、とあるプロデューサーを紹介してくれることになりましまた。プロデューサーは協力を惜しまないという意志表示をします。でも、それには、交換条件がつきました。耕三の身体です。プロデューサーは筋金入りのゲイだったのです。娘の夢のため、一度は腹をくくる耕三ですが・・・。
痛いのか?
俺はタチなのか、ネコなのか?
覚悟が定まらないまま、耕三は呻吟します。そして、出した結論が、ダッシュで逃げる!
これでついに、芸能界への細い糸も切れてしまいました。
ところがその後、ひょんなことから、未来の俳優を夢見る青年と知り合います。
この青年がエキストラとして出演する映画の現場に、「子役」と「マネージャー」を装ってついていけば、見学ができるというのでついていきました。
そして、監督に見初められたのは、りつ子ではなく、耕三。
とはいえ、ズブの素人です。演技など満足にできるはずもなく、監督からはボロクソに罵られます。その耕三にアドバイスを与えたのが、人気女優の香坂ちづるでした。
アドバイスのおかげで撮影はうまくいったものの、耕三に目をつけた香坂ちづるほ、耕三を落としにかかります。さらに、耕三の勤める会社の女子社員にまで言い寄られ…。
ご都合主義な展開ではありますが、ご都合主義を感じさせないスピーディーで意外な展開が次から次へと耕三を翻弄します。
女子社員としこまた呑んで、酔いに任せて次に訪れた店が、なんとゲイバー。そこで、意気投合したメンバーと調子にのって裸踊りをしているところへ現れたのが、例のゲイのプロデューサーでした。
「やっぱりアナタ、そういう趣味だったのね」とばかり、今にも襲いかからんとするゲイのプロデューサー。
耕三、絶体絶命のピンチ!
とまあ、だいたいこれが1巻の粗筋です。
書店で2巻をみかけたら購入、のつもりでしたが、そこ後、みかけません。
さて、りつ子の、夢は、叶うのでしょうか?
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