漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 エクセル・サーガ ③/六道神士 】

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 17巻ではエクセル社長の誘拐事件が発生します。誘拐されたのは、記憶をなくして四王寺家で保護されてる本物。誘拐犯が電話してきたは、六本松(一式)が演じる偽物のエクセルが執務するILL本社で、エクセル(偽物)はそこにいます。話が通じない状況です。

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 四王寺照葉を名乗り四王寺家に保護されてるエクセルには発信器がつけられいて、四王寺五条が完成させた人型ロボット六本木(2式)により、救出されました。 未来(過去の超文明をふくむ)超テクノロジーが、遺憾なく発揮されています。

 さて、ある日突然、憔悴しきっていた蒲腐博士が、保障局の連中を集めて、盛大にパーティーを実施します。

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 秘書の百地が巧妙に公金と隠し財産を分離し、いざというときのために、博士の資金を、キープしていたのです。ここに、市街安全保障局は以前よりも強化復帰し、変身用のパワードスーツも復活、局のメンバーは危険な任務に就くことが再び予想される事態になりました。

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 ILL全店での商品無料配布を行わなければしかけた爆弾が爆発するとか、保障局のメンバーが一瞬にしてナントカレンジャー的なものに、変身できるグッズか開発されるとか、結論としてはテロリスト同士の勢力争いにほかならない?

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 さて、この辺りから話が実はよくわからなくなってきます。
 六本松(一式)ではない本物のエクセルとエルガーラはアクロス本部へ向かおうとF県F市の地下通路(下水路など)を動き回りますが、アクロス本部への入り口がよくわかりません。四王寺博士はその、行動を六本松(2式)に尾行させますが、あまりのバカバカしさに頭を抱えます。肝心の保障局のメンバーは温泉旅行中、といった具合ですが、博士だけが進捗のない状況にイラついています。

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 そしてまたぶっ壊れた岩田人型アンドロイドに与えられたのか、六本松(2式)です。見た目が女同士ということで実咲に預けられますが、このあたりになってくると、アクロスも博士も四王寺も目的がバラバラ、利害の共通することだけ協力し、あとは、報酬の多寡による、というかんじですね。
 岩田が実は四王寺の研究所で生存していて、一式や2式は身体は動かないものの脳波でコントロールしていたことや、実咲と四王寺のホットラインが実質機能していなかったことなどが判明、イルバラッツォの野望は進捗しつつも、エクセル、ハイアット、エルガーラの生活レベルはどうやら橋の下掘っ立て小屋レベルに戻ってしまっまようです。

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 その掘っ立て小屋のパソコンがナゼか起動し、アクロスメンバーに「待機せよ」との指示が下されます。
 アクロスは、次の作戦のために準備期間に入るのだとか。
 ギャグオンリーでバカバカしい展開が繰り返されるだけではなく、明らかに物語が進行していることがうかがえます。

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単独行動に出たエクセルは、記憶喪失寺に四王寺照葉を名のって暮らしていた研究所に戻ります。不思議となんのセキュリティもなされておらず、簡単に侵入できたのですが、その先をどんどん、進んでいくと、息子である四王寺五条さへ立ち入りを禁止されたエリアにあっさり入ることができ、そこは蒲腐博士の秘密基地になっていました。 エクセルはそこで実咲たちに見つかってしまい、軟禁されてしまいます。下手な動きをするとセキュリティにひっかかるため、じっとさせておくためです。
 ところがそこへ、ILL社長(つまり、偽物のエクセルであり、六本松一式)が乱入、戦闘力においても高性能ロボットであるはずの一式が、本物のエクセルに倒され、持ち去られてしまいます。
 どういうわけか一式の主人(命令者)がエクセルということになり、橋の下の段ボールハウスが一式の手でどんどん改築され、流されてきたハイアットとも合流、イルバラッツォの行方は知れぬものの、3人による市街征服活動が再開となります。
 その鍵を握る人物として、エクセルとエルガーラにより、美咲拉致を実施します。

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 美咲、エクセル、ハイアット、エルガーラの4人が揃った段ボールハウスに、2式に乗り移った岩田が乱入。四王寺の研究所では岩田本体が瀕死状態になります。2式から戻らないと岩田の命は今度こそ無い、という状態で美咲がなんとか状況を回避、ところが今度は、偽エクセルがハイアットをつれている所に渡辺が遭遇。戦闘用スーツの転送装置を作動させ、1式とのバトルが始まってしまいます。
 現場にかけつけた美咲も同様に戦闘用スーツを転送、渡辺を止めることに成功しますが、「深入りを避けるのを諦めた」と宣言。
 そして、物語は終盤に突入していきます。

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市街安全保障局が新たに技術顧問として、四王寺美和博士を迎えました。四王寺五条教授の母親です。 美和女史が黒幕となって、最後の戦いっぽい戦闘が始まりました。
 エクセル達が住む段ボールハウスが爆破されます。それを予期していたかのようなタイミングで、エクセルとエルガーラは、偽エクセル(一式)の引くリヤカーで剛速脱出。それを待ち受けるのが、ゴレンジャーみたいなパワードスーツに着替えた保障局のメンバー。蒲腐博士らは、その様子をモニターで観ています。(誰が撮影してんだ?)

 ところが突然、蒲腐博士らのモニター回線が途切れます。そして、エクセルと美咲の間で交わされる会話。
 蒲腐博士らの思惑から逃れるために、二人は事前に用意されていた芝居を打っていたことが明かされます。
 しかし、美咲がそれを裏切らねばならない状況になり、美和博士が遠隔で介入、かけつけた四王寺五条にアクロスのメンバーは保護され、研究所で戦闘で被った治療を受けることに承諾、蒲腐博士には「逃げられました」と美咲が報告し、戦闘状態は一旦おさまります。

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 しかし、またもや発生するイレギュラー。人型ロボットである一式に、今度はエクセル本人の精神が取り込まれてしまいました。
 この状態が続けば、魂の抜けた本体は死亡するようなのですが、ロボット体の中のエクセルは「銀河鉄道に乗る手間が省けた」くらいにしか考えていません。

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 要するにすべての大元、様々にあれこれ引っ掻き回してしるのは、この、おばさん(美和女史)と、容易に想像できます。イルパラッツォとも繋がりがあり、職階上の上下関係などはもちろんありませんが、美和女史にイルパラッツォが翻弄されてるような描写もあり、どう見てもイルパラッツォより上の立場です。

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 美咲と四王寺教授のホットラインか、あてになるのか、脆弱なのか、疑心暗鬼ににりつつある中、突然保障局を襲撃してきたエクセル(一式)と岩田が互角に戦えたことがきっかけとなり、蒲腐博士は再度、イルバラッツォの基地探索のために、地下への出動の命令がします。 全体の様子を俯瞰している四王寺美和によって、下水道の鉄砲水発生や、アクロスと、保障局のメンバーの精神状態への介入など、色々なされますが、とにかくみんな、しぶとい。

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 アクロス本部基地への潜入、戦闘、通信回路途絶によるバックアップの喪失、一部期待の人員の五条による回収、そして、出口が喪失したことにより基地内に残されたメンバー(アクロス、保障局側双方)の、事実上の捕虜状態と、物語はどんどん混迷していきます。
 ここに来て、よりハッキリと読者に示されてるのは、全ての元凶は、四王寺美和である、ということでしょう。 イルバラッツォ2体がどこかで会話を交わしていたり、六本松2式が、閉じ込められてるはずの基地の連中に、どこからか物資を供給していたりと、何も動いていないようで、何かが動いています。

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 閉じ込められた地下基地の温度上昇や酸素の低下など、生命維持に危機的状況が発生しかける中、各々が誰のために、何のために、このような、状況に追い込まれたのか、考え始めます。
 基地が解放され、脱出可能となてからも、納得できないまま逃げ帰ることなんてできるか、そんな気持ちを持ち始め、仕掛人を追い詰めてゆくのです。
 仕掛人は四王寺教授の父で行方不明になったままの四王寺天満宮、そして、その期待は母である美和の姿をした六本松3式。
 イルバラッツォの市街征服の放棄宣言、AI機能と無限のエネルギー供給機能を兼ね備えた「核(コア)」を備えた3式さえ手に入ればもうそれでいいという四王寺教授の本音などなど、様々な想いが交錯します。

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 さて、いよいよ最終27巻です。雑誌掲載時から修正されてるとのことで、さらに加筆も50ページとのこと。Wikipediaによると「ギャグマンガ」という分類にしかされてませんが、もうここまでくると立派なSFです。

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 地下基地内で、それぞれの想いに決着をつけるべく行動を起こす面々。地下の様子をモニターしていた四王寺五条の言葉を借りると「全員生還の為、迷わず賭けに出るとは頼もしいキレっぷりですよ。どんなカードを引いたのやら・・・。バーストしていないとよいのですが。あの『扉』の中にみえたもの・・・。あれは、『核(コア)』ですね?」
 四王寺五条が語りかけてる相手は、同じくモニターしていた蒲腐博士です。

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 イルバラッツォに乗り移っていた四王寺天満宮(四王寺五条の父)が去り、三式が登場して基地を消し去る宣言をしす。
 そして、床が崩れ始めます。一同、一斉に逃げ始めます。
 とりあえず、生還!

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 本物の核(コア)を手にしたエクセル?
 退屈なので敵を求めた蒲腐博士と、それを手配した人物?
 あらためて市街征服を宣言したイルバラッツォと、その命令に忠実に行動するエクセルたち。
 そして・・・。
 元傭兵でスキンヘッドの強面のあのペンションのオーナーと、その下で働いていたメーテル似の女性は、弁当屋を開業していました。
 
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