漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 狼くん突風/中垣慶 】

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 全部で400ページ程度の作品を1冊にまとめてあります。
 大都社版を古書で入手してますが、元はおそらく少年キング連載です。少年画報社版のコミックスもあった、のでしょうか?


 主人公は、黒崎狼(あきら)という中学生。事故と病で両親を亡くし、現在は河合という柔道場を営むオジサンの家で暮らしています。
 同級生の美鶴という可愛い女の子がいて、血のつながらない男女の同居状態になっていますが、恋愛ものには発展しません。
 美鶴は父を師とする門下生でもありますが、狼は門下生ではありません。身体ならし程度に柔道をすることもありますが、彼が目指すのは狼流拳法の完成です。
 亡き父が創始しようと、一人でコツコツと修練を積んでいましたが、未完成のまま亡くなりました。修行の過程で柔道や空手や様々な拳法を身に付けていってはいたようですが、狼流とはどのような拳法なのか、読者には明かされず、狼本人も実はよくわかってません。「これではダメなんだ、未完成なんだ」という台詞は頻出するのですけどね。
 なにしろ、創始しようとした父が「狼流は未完成」のままに死に、彼は技のひとつすら伝授されていません。修行する姿を目にしていたにすぎないのです。

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 それでも、どうやら狼流というのは、一撃必殺の殺傷拳ではあるらしい、というところまでは読者に示されます。

 実は「狼くん突風」というタイトルにヒントが隠されていたんですが、それは最後にならないとわかりません。というか、気づく読者がどれだけいるやら? いやいや、僕も勘違いしてるかもしれませんしね。
 ともあれ、日々の修練によって常人ならざる運動能力を身に付けてはいますから、いくつかの運動部から勧誘があります。しかし狼は、狼流の完成を目指しての修行をせねばならないので、全てを断ります。が、根っからの人の良さもあって、入部は断っても、対外試合の助っ人などは引き受けたりします。
 武道ならともかく、スケートや野球などはさんざんな目に合いますが。
 肝心の狼流がどのようなものかは判然としないまま、絶大な運動能力と中途半端な拳法で、不良どもを追い払ったり、別作品の主要キャラであるミルキィ先生が登場したり、ライバルになりそうなキャラが登場するもののライバルになるところまで進展せず、ストーリーがフラフラしたまま第一部が終了。おそらく、テコ入れというやつです。

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 第ニ部は「刑事編」と「武闘編」に別れていて、刑事編は1話のみ。一部1話で知り合った刑事の事件解決に協力するスタイルです。話には引き込まれるものの、狼流という視点ではフラついたまま。「武闘編」でようやくそれらしくなってきます。
 狼の父がかつて門下生として修行をしていた拳法のある流派が、父亡き後もその流派を完成させようとしている息子(狼)の存在を知り、将来の脅威になることを恐れて、狼を仲間に率いれるか、今のうちに潰しておくか、どちらかにしようと行動に出ます。
 狼は幻術にかかってしまい、一時はその門下生に引き込まれ、その中で一撃必殺の狼流を研ぎずませていくのですが。
 そのことに気づいた本当の意味でのライバルとの真剣勝負の中で、ライバルの協力と自ら精神力で幻術から逃れ、試合に勝利します。
 その闘いの中で狼が放ったのが、相手の身体に触れることなく、繰り出す拳からの突風のようなもので相手を掌打する技でした。
 これがおそらく、タイトルの突風の由来であり、狼流の完成形なのでは? と、僕は勝手に理解しています。
 いえいえ、カメハメ波ではありませんよ!
 
(087-718)