【 デカガール/長崎尚志・芳崎せいむ 】
人質立てこもり事件が発生しました。被疑者はどうやら猟銃まで持っているようです。目的が何なのかはわかりませんが、とりあえず「昼食の出前を持ってこい」という要求です。
そこに白羽の矢がたったのが、ある1人の婦人警官、日野まる香です。家業は蕎麦屋。当然、出前を扱っています。刑事になりたいという希望はなかなかかなえられず、交番勤務の日々を過ごしており、「私には向いていない」と辞表を書こうとしていたところでした。
「おまえ、出前は得意か?」
「それしか、取柄はありません……」
一般人に凶悪犯の出前を持たせるわけにはいきません。しかし、凶悪犯は中華料理店での出前の経験があり、偽物は軽く見破るだろうと、警察も対応に頭を痛めていたところでした。
そこに、家業が蕎麦屋で、出前のプロ。そして、警察官であるというそのまる香に白羽の矢が立ちます。
出前を届けるふりをして、受け取りに外へ出た犯人の顔面めがけて、お盆の上の丼やらなにやらを思いっきりぶつけ、犯人がひるんだところで、見事、逮捕!
日野まる香はこれをきっかけに県警本庁捜査一課への転属を果たします。
そして、彼女の特技は出前だけではないことがわかりました。
匂いを敏感に察知する能力があるのです。幼いころから犬や猫と生活を共同していたせい、ということになっていますが、特殊能力です。
捜査一課では、イケメンの奧菜班に配属されます。
この作者は若いイケメン男とか、渋い中年オヤジとかが好きらしく、しょっちゅう登場しますね(笑)
匂いに敏感なまる香のおかげで、数々の事件を解決していきますが、もう1巻の終わりには、物語の全体を通してのテーマとなる未解決の「ロッシーニ事件」の一端が読者に示されます。
全6巻。主題となった「ロッシーニ事件」は一通りの解決を見、まあラストシーンは結婚式です。
さあて、誰と誰の結婚式でしょうかね。
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