【 アパルトめいと/犬上すくね 】
「あぱるとめいと」は短編集で、いくつかの作品が収録されてますが、「あぱるとめいと」タイトルでは継続連載のようで、そのため巻数表記がなされています。
多くないページ数にエロシーン必須の作品なので、ストーリー的に深く掘り下げられることはありませんが、それでも女性の繊細な心理描写がなされています。
同じ作家の本格的なストーリー漫画なら「恋愛ディストーション」が、エッチ描写のない初々しいラブストーリーがお好みなら「ういういdays」がおすすめです。どちらも、数組のカップルが登場し、それぞれの恋愛模様が繰り広げられます。主人公カップルだけのお話に留まらない、というのが共通する特徴です。
さて、カラー絵を、いつくか掲載してみます。いかがでしょうか?
エッチではあるんですが、さほどエロマンガ的ではないですよね?
いわゆるオタク的な萌え要素もなく、昔ながらの男性向けエロ本に掲載されてたありえない程の妖艷(苦手)さもありえません。
あえていうなら、普通の平凡な日常物語タッチ。これで、セックスシーン満載、その前後ではイチャイチャシーンのオンパレード。これが本当のエロさだと思いませんか?
短編集だけど表題作は連載続行のようで「1巻」表記があるのはそのためなんですが、表題作「アパルトめいと」のみならず、「100×200」という作品も続編が2巻に掲載されてます。
1巻には本当の短編も掲載されてるのですが、「アパルトめいと」と「100×200」に関しては、2作品を一緒くたにして、全2巻に分けてそれぞれまとめました、という形式。
表題作は、一人暮らしをしてる男、雨宮工(たくみ)のアパートの部屋に、沢渡梢という女が夜中に泥酔してやってきて、同じベッドで朝を迎えます。
お互いに「あんた、誰?」となるのですが、要するに梢は前の住人で、鍵を持ったまま退去しており、酔って間違って昔の部屋へ帰ってきてしまっていたのです。
こんなことが2度と起こらないように鍵をとりかえるよう梢は工に言いますが、工は売れない作家でお金がありません。
仕方なく梢は、これで鍵を交換しろと3万円を渡しますが、工はそのお金を使い込んでしまいます。
またしても泥酔してやってきた梢。そして、自分から来ておいて「鍵が交換されてない」と激怒、渡した3万円が生活費に消えていたと知り、「身体で払え」と工に迫ることになります。
これで2人のちぐはぐな男女関係が成立。
「お前なんか性欲処理の道具」だと言わんばかりの梢ですが、会いたいときに会えないすれ違いなんかもあったりして、だんだん惹かれあってゆく2人。そして…。
とまあ、こんな物語です。
カップルの「やってる最中」会話も魅力的です。セックス時に交わされるトークもさることながら、イチャイチャな会話が本当にイチャイチャなんですよ!
出勤前のOLが、時間がないのに彼氏に軽く悪戯されてスイッチが入ってしまい、ムラムラしながら仕事をしてるなんてエピソードも描かれてます。
サブの方の「100×200」は、セックスばかりしてる漫画(身も蓋もないな)ですが、エロくなくて面白いです。
ページ数にしてはちょっとお高いですが、その分、カラーページがたくさんあります。
エッチなことを描く女流作家さんで、一番好きなのが、犬上先生です。
なるほど、リミッター解除なんですね。
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