【 シャーロッキアン!/池田邦彦 】
池田先生の絵柄も、ストーリーも好きですけど、そもそも「シャーロッキアン」て、なんですかいな?
時期を前後して発売されたゴルゴ13の文庫に「シャーロッキアン」と副題のついたものがあったので、両方の作品をあわせて、なんとか理解しました。
シャーロッキアンとは、シャーロック・ホームズの熱烈なファンのことです。
シャーロック・ホームズを実在の人物、ワトソンを実在の執筆者とみなし、作品世界に入り込んでゆくひとたち、とのこと。ファンならではの遊びに没頭する人たちなわけですね。
主人公は、女子大生の原田愛里。シャーロック・ホームズの愛読者です。そして、彼女が通う大学の教授、車路久(くるまみちひさ、と読ませていますが、シャーロックとも読めます)も愛読者で研究者、すなわち、シャーロッキアンなのです。
あることがきっかけで、お互いにそのことを知り、そこからこの物語は展開していきます。
物語そのものは、いわゆる日常系。身近におこる様々な出来事を通じて2人は心を通わせていきます。そして、それは単なる日常系ではなく、この作者ならではの人間ドラマを感じさせてくれます。シャーロック・ホームズの物語を読んだことがない人でも楽しめますよ。
ちなみに、この車教授の表情、無愛想でめっちゃ怖いです。この作者の描く中高年男性って、「カレチ」とかでもそうですけど、ムスッとしてるんですよね。でも、考えてみたら、常にニコニコしてる方が不自然なわけで、そういう意味ではリアルです。
でも、安心して下さい。
1巻1話のラストの少し手前で、大爆笑のシーンがあります。
そして、車は言うのです。
「久しぶりだよ。こんなに心から笑ったのは」と。
愛里が教授の凍りついた心を溶かした、というわけです。
そうそう、どうにもなりませんでしたし、どうにかなったらエライことになると想像がつきますが、愛里の教授へのほのかな恋心が、そこかしこにさりげなーく描写されてます。
4巻まで所持。以降はどうなってんのかな?
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