漫画パラダイス

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【 銀河鉄道999 アルティメットジャーニー/松本零士・島崎譲 】

 
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 出たー!!!
 まさかというか、よもやというか、銀河鉄道999第3シリーズです。
 原作・総設定・デザイン=
松本零士、漫画=島崎譲、脚本・設定協力=安斉勝則、メカニック協力=田中康博となっています。
 
 ストーリーの大枠は、カバーや帯の写真だけである程度おわかりいただけるとは思うものの、少しだけ触れます。
 
 崩壊しかけたり、傾いたりと、荒廃したビル群が、地球がいかにすさんだ状態になっているかを想像させます。
 その荒れたビル群の中に、中空に延びる1対の線路。銀河鉄道のようやく復旧した離発着用の線路に、999号が到着し、星野鉄郎が地球に戻りました。
 第2シリーズ「エターナル編」の旅を終えたことを示しているのでしょう。
 
 そして、少年から青年に成長した鉄郎は今、機械化人専用診療所で働いています。機械化母星の滅亡で天の川銀河の勢力図が変わってしまい、生身の人間から迫害を受けています。貧しい機械化人はメンテナンスにかけるお金もなく、どんどん腐食していってるのです。
 
 そんな機械化人に救いの手を差しのべているのが、この診療所です。
 
 ある日鉄郎は、機械化母星を滅ぼした英雄のくせに機械化人を診療所で助ける仕事をしているために、「裏切りもの」呼ばわりされ、襲われます。
 それを救ったのが、ある事情を鉄郎に伝えにきたエメラルダスでした。
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 それは、メーテルが行方不明である、ということでした。
 エメラルダスとメーテルは、双子の姉妹。どこにいても意識の底で認識しあっている。なのに、それが感じられなくなったという。
 エメラルダスから鉄郎への依頼は、メーテルを探すことではなく、呼び寄せること。あなたが呼べばメーテルは戻ってくる、とも。
 そして、999に乗って旅立てば必ずメーテルに巡り会える、と。
 
 三度、999で宇宙の旅に鉄郎は出ます。その直後、何者かのよくわからない力によって、太陽が超新星爆発を起こし、太陽系が消滅します。(本来、太陽は超新星爆発を起こすほどの質量をもっていない)
 
 古代将(すすむ)や相原などもグレートヤマトの乗組員として登場します。
 車掌さんやミーくんはもちろん、ガラスのクレアや、有紀学、レイラ・ディスティニー・シェラ、ヘルマザリアなども。
 第2シリーズのラストを描いた小説版でも松本キャラ総出演だったそうですが、この第3シリーズでもそうなるのでしょう。
 そして、理屈がどう展開するのかはわかりませんが、太陽系復活への鍵も、鉄郎が実は握ってるんでしょうね。
 
 贅沢をいえば、ニーベルングの指輪とも交錯して、大きな結末を期待したいところです。
 
 さて、この第3シリーズにも往年の名台詞が登場します。
「時間は夢を裏切らない」と「男なら負けるとわかっていても戦わねばならない時がある」です。
 
 ありふれた単語の組み合わせでしかない短いフレーズが、極端に類似していたとしても、本人がパクりましたすいませんと言わない限り、盗作など証明できないでしょう。
 しかし、自ら読まなくては頭に入ってこない漫画と違い、歌はある程度ヒットすれば、多くの人の耳に残ります。CMソングとなれば、なおさらです。
 負けるとわかっていても、「俺が先だ」とあのとき言ってなかったら、このフレーズを第3シリーズで初めて目にした読者は、松本先生こそが歌詞からパクったと判断しかねません。(もちろん、どちらが先かなどは、調べればわかることではありますが。)
 いま、この第3シリーズで堂々とこのフレーズが使えるのも、あの裁判をおこしたからこそだと感じてしまうのは、松本贔屓に過ぎるでしょうか。
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 さて、今回の999号は途中停車駅が一切なく最終目的地までノンストップ。「運命(ディスティニー)行き」の超々特急です。車掌さんの他に、蘇ったガラスのクレア、機関車の電子妖精カノンが乗務員です。猫のミーくんも乗車が認められ、猫用のパスも発行されました。そして、空間鉄道警備隊(SDF=セルフディフェンスフォース)の有紀学が鉄郎のガードにつき、同行します。





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 護衛などいらないという鉄郎に、学は「キミは立場がわかっていない」と言います。宇宙空間で出会ったG(グレート)ヤマトの艦長、古代将(すすむ)がブリッジで敬礼をするほどの男に鉄郎はなっていました。数々の活躍で鉄郎は英雄になっており、そしてまた同時に多くの敵を作ったと、学は説明します。
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 「運命」に着いた鉄郎は、さっそくレイラ・ディスティニー・シェラに引き合されます。彼女が銀河鉄道を統括しているのです。そして、敵対勢力によって太陽は超新星爆発に導かれ、地球はその爆発に飲み込まれてしまったのだと知らされます。
 まさしく地球は滅びたのです。しかし、レイラは言います。鉄郎がその敵対勢力に敢然と立ち向かうなら、地球を万に一つの確率で地球を救えるかもしれない、と。そこには多くの困難と危険な戦いがあるが、それでも行くかと、鉄郎に問います。もちろん、鉄郎の答えはYESです。
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 鉄郎は新たな使命を帯びて、また999号で旅立ちます。
 有紀学は、今度は護衛につきません。そのかわり、レイラから別件の指示を受けます。それは、不穏な動きをしていると思われる惑星エスメラルダへの対応です。現在のエスメラルダの統治者はメーテル。惑星エスメラルダは、機械化母星の崩壊で弱り切った機械化人を保護し、機会化人が静かに最後の時を迎えるための星になったはずなのですが…。

 一方、鉄郎は新たな目的地へ999号で向かいます。最初の停車駅は「大王星」です。その999号を襲い、999号を守る空間シールドに穴を開けて、「敵」が乗り込んできました。地獄の聖母騎士と恐れられる戦士、ヘルマザリアです。彼女は、暗黒宇宙メタノイド大帝星の百人隊長です。999号ごと破壊することも可能だったのに、わざわざ「穴」を開けて乗り込んできたのだから、その目的は俺だと鉄郎は言い、車掌さんとクレアを下がらせます。

 130億年以上前、宇宙開闢の時に、実はもうひとつの宇宙が誕生していて、それが暗黒宇宙であり、そこに住人が金属生命体メタノイド星人です。生存圏を広げるために、鉄郎たちの生きる「光のある宇宙」を侵略に来たと彼女は説明します。そして、鉄郎と決闘することになりました。
 鉄郎は本能的に相手の強さをひしひしと感じています。勝てる気がしません。「男は負けるとわかっていても戦わねばならない時がある」というハーロックの言葉だけが、鉄郎の心の支えです。
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 3つ数えてからホルスターから銃を抜いて撃ち合う、という決闘のルールが決められました。
 そして、その瞬間、どこからかヘルマザリアに向けた発砲があり、銃を握る彼女の手が撃ち落されてしまいました。鉄郎は助っ人に助けられたのです。大王星要人警護部隊「スタージンガー」でした。腕を撃ち落されたことでヘルマザリアは撤退、999号はスタージンガーに警護され、大王星に到着することができました。
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 スタージンガーも松本先生原作のアニメですが、自身がコミカライズしなかったせいか、999号の松本キャラ総出演的な場にこれまで登場していないように思います。もしかしたら、エターナル編の小説完結版には登場していたかもしれないのですが、そちらは読めていないのでわかりません。
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 さて、大王星に降り立った鉄郎は、意外な事実を知ります。おとぎの国のような美しい建築物が軒を連ね、繁栄を謳歌しているようですが、その建物群のほとんどは張りぼて。住民は、身寄りのない子供達とその世話をする「先生」と呼ばれる大人、数十人の技師、そして星を守るスタージンガーのような騎士たちのみです。
 そこへ、ヘルマザリアが再び攻撃をしかけてきます。騎士としての誇りを持つヘルマザリアは決して標的以外を巻き込むような攻撃をしない。そう信じる鉄郎は、標的である自分が目立つことによって、町への攻撃を回避させようとします。

 しかし、そこに邪魔が入ります。メタノイド百人隊長の一人、ツイスト・バレルです。ヘルマザリアに言わせれば、騎士としての誇りの欠片もない、目的のためには手段を選ばぬ男です。バレルはバレルで、ヘルマザリアの「古色蒼然としたその考え方にヘドが出る」と吐き捨てます。そして、致命傷にはならなかったものの、ヘルマザリアはバレルに撃たれ、一時的に戦闘不能に。その間に、バレルは大王星の王宮めがけて、大型戦艦対戦用の主砲をぶっぱなしたのです。その時、王宮からは大量のギャラクシーエネルギーが放出され、主砲を跳ね返しました。大王星を統治するオーロラ姫による、ギャラクシーエネルギーを用いたシールドが間に合ったのです。

 バレルの所業に怒り頂点となったヘルマザリアは、鉄郎に「エスメラルダに行きなさい、そこにメーテルがいる」と言い残し、バレルに突撃します。
 鉄郎は「先生」が大王星の統治者オーロラ姫その人であり、またオーロラ姫こそがギャラクシーエネルギーをコントロールして大王星を守護していることを知ります。オーロラ姫とは、ワルハラの神々の1人なのです。
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 そして鉄郎は、オーロラ姫、スタージンガーの3人、そして子供達に見送られながら、999号で大王星を後にします。

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