【 新 宇宙戦艦ヤマト/松本零士 】
あの「宇宙戦艦ヤマト」の物語から1000年。
古代進と名乗る青年はどうやら32代目。かつてのヤマトの乗組員は、その名前は踏襲しているらしい。そして、先祖代々受け継がれている「腕時計」を所持・使用していました。
とはいえ、もはやヤマトは過去の伝説として忘れ去られた存在でした。宇宙において、高等生命体同士が戦火を交えるなどとは既に想定されず、宇宙は平和を謳歌していたのです。
……はずなのですが、ある日、恐怖が来襲しました。それは、正体不明の暗黒。その速度は光速の98%。宇宙空間を航行中の大船団は、これをのがれるべく急遽ワープを実施しますが、結果はほぼ失敗。ワープから脱出できたのは、古代が乗艦していた「ゆきかぜ」の前半分だけ。生き残った乗員も古代だけでした。
敵はメタノイドのダークイーン。松本漫画にはお馴染みの適役です。
ヤマト乗員の子孫たちが受け継いだ「腕時計」には、「ヤマトに来たれ!」のメッセージが表示されます。
これにより、子孫たちが再び「宇宙戦艦ヤマト」に集結します。
かつてのヤマトではありません。来るべき時のため、ヤマトはひそかに改造を受け、船体も武器も強化されていました。
艦長も、あの沖田艦長の子孫のようです。キャラ造形は子孫を意識させない、当時そのものの絵柄です。延々とヤマト信者であったファンへの大サービスを、「多少の無理は承知」でよみがえらせたのでしょう。
物語の終盤、同じく松本メカの「まほろば」と合流したり、その後、様々なところで登場したキャラたちも集まってきます。
そして、「ヤマトの本当の旅立ちが」……。というところで、この物語は終末をむかえます。
「ニーベルングの指輪」か、「銀河鉄道999エターナル編」あたりで、本当の意味でのクライマックスを迎えるのかなと期待したものの、ヤマトの著作権は取り上げられてしまい、999の「歌詞盗作裁判」でも実質上の松本(原告)の負け(被告はのうのうとしています)。
本当に盗作があったかどうかは別にして、「勉強不足で先生の著作は存じ上げておりませんでした。知っていたらこのようなフレーズをつかおうはずもありません。今更ですが、認めてくださいませんか?」と、人気をかさにきて下手に出なかった若造を私は心底軽蔑しています。
さて、「エターナル編」は噂によると小説版で完結しており、松本キャラと松本メカが大共演したとの模様ですし、おそらく漫画での本当のクライマックスに出会うことはもうありえないのでしょう。本当に残念です。
松本先生もご高齢であることから、無理はしてほしくないのですが、それは仕方ないとしても、その小説を増刷する気のない版元に憤りを感じます。古書店でもほぼ入手不可能。かりにあったとしても、法外な値段がついているそうです。
あれ? ヤマトの話がいつのまにか999の話になってしまいました。
この記事をLINE BLOGにアップした後に、999の新作(第3シリーズ)のコミックス1巻が発売されましたが、それについてはまた後日。
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