【 水の誘惑/氷室芹夏 】
男子と女子では、ある年齢までは女子の方が早く大人になりますよね。だから、同学年、幼馴染み、っていう関係だと、女子の方がどうしても精神年齢が高く、おませさんになりがちです。
そのせいでしょうか、同じ高一なのに、かずやは主導権を碧に握られています。幼い頃は単にいじめの対象だったにすぎませんが、今は身体の関係まで強要されています。
ブラとパンティを身に付けてくるよう命令されて、それを通学の電車の中で確認されます。
「わざわざうちの店から新作を」と碧が言ってることから、彼女の家がランジェリーショップを営んでいることがうかがえます。体格も碧の方が良く、「かぼちゃワイン」を意識した設定なのかもしれません。ただし、かぼちゃワインの方は、男の子の家がランジェリーショップで、ここが逆転してるんですけどね。
通学の電車の中でズボンをおろされ、女性用下着からはみ出したソレを、碧は弄びます。水泳部の部活の後はプールに呼び出され、女性用水着まで着用させられます。それが似合うほど、かずやは女性的な顔立ちをしています。
女性用水着を身に付けた姿をからかわれつつ、かずやは命じられるままに足の指や股間を舐めさせられます。そして、さんざん玩具にされたあと、ようやく挿入が許されるのです。
そんなかずやですから、セックスはしても、碧に恋愛感情はありません。恋愛感情があるのはむしろ碧の方で、それが歪んだ形で発露しているといっていいでしょう。
かずやが好きになったのは、自分より背が低く、気の強い碧とは正反対の性格で、顔立ちも可愛らしいあずみでした。落とし物探しを手伝ってくれたかずやに、あずみも惹かれていきます。
同時に、あずみと同じ中学出身で、過去にあずみと何かあったらしい高志は、碧に目をつけ、言い寄り始めます。
かずやは、碧との関係を隠しながら、あずみと付き合い始めます。しかし、碧への想いを振り切ることもできず、ことあるごとにズルズルと関係が続きます。
高志からの想いを拒み続けていた碧も、半ば自棄になり、受け入れてしまいます。
そして、碧は妊娠。
どちらの子か、わかりません。
しかし、碧の妊娠を知った高志は、どちらの子でも構わない、一緒になろうと告げます。碧はそれも拒否し、しかもかずやには妊娠したことを知らせまいとします。
高志はかずやに迫ります。碧と一緒になる気があるなら自分は手を引く、しなし、そのつもりがないのなら、碧を連れて遠くへ行く、と。
その時、かずやのとった行動は・・・?
碧、あずみ、高志それぞれの想いは?
エッチな描写を読者に提供することを意識した作品ではあるものの、「エロ漫画のひとつです」とひとくくりには言えない、青春恋愛ものです。感情表現がうまくできなくて、イビツにエスカレートして行くところが、なんとも切なくてツボです。
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