漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 さよなら群青/さそうあきら 】

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 父と2人、無人島に暮らす少年、グン。だが、父が死に、父の言葉に従い、人の住む島に移住するため、小船で大海へグンは漕ぎ出しました。
 しかし、漂着した島の人々は、なぜかグンを異常なまでに拒絶します。たったひとり、海女の少女、岬を除いては。島の人々がグンを拒絶するのには、理由がありましたた……。

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 高い木の上から降りられなくなった猫を飼っていた幼女まみとも、猫を助けた縁で仲良くなります。

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 無人島で父親と二人きりで暮らしていたグンにとって、勉強の機会はほとんどありません。まみがグンに漢字を教えるのだと張り切ります。

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 とはいえグンは島の人間ではありません。また、島の人間はよそ者を極端に拒絶します。会合がもたれ、本土にグンは送りつけられることになるのですが、本土へ向かう船から逃亡、島に戻ってきてしまいました。

 漁業で暮らすこの島では、男は船に乗り、女は海女になります。特にグンと関わった人たちは、徐々にグンとの距離が近づいていきます。でも、それは特にグンと深くなった人だけで、相変わらず島全体としてはグンを受け入れてはいません。

 それは、島の過去に原因がありました。ヤクザ者がやってきて、最初は甘言を労して島にメリットをもたらすように見せかけ、やがて島を喰いものにしたのです。

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 しかし、グンは当時の事件とは関係がなく、また離れ小島で純朴に育った少年です。また、グンの存在に関わらず、人と人との暮らしのなかでは、様々なやっかいごとがおこります。

 そこに純朴なグンが何かと関わることで、島民のグンに対する意識も変化していくのです。

 そのようなストーリーなのですが、雑誌休刊で4巻が手に入らないままになっているました。

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 休刊後は、Webで連載が続き、全4巻として完結しているし、雑誌連載時のレーベルのままちゃんと単行本になっているという情報もつかんでいたのですが、おそらく発行部数が極めて抑えられていたのでしょう。ついに最終4巻は書店には並びませんでした。雑誌が存続していても、最終巻は入手しずらく、一部のヒット作や、新作の連載が予定されてれば話は別でしょうが、要するに「間もなく忘れ去られる作品」という位置付けで、連載終了作品は早々に見捨てられることが多いのです。部数を減らし気味にする出版社も、仕入れない書店も、これは熱心な読者に対する裏切りだと理解いただきたいと私は考えています。これでは自らの首を絞めているも同然で、それで出版不況もないものです。

 幸いネット古書で1円での販売を発見しました。送料が360円ほどかかりましたが(笑)。届いた品物は、古書だなんてとんでもない。明らかな新品でした。業者に依頼して費用を払って廃棄するくらいなら、古書を名乗って1円で販売し、購入者に送料を負担させてひきとらせる方が安くつく、ということでしょう。もちろん、読者としては、そのほうがどれだけありがたいことか。
 ほしい読者がいるのに、売りもせず、焼却処分なんて、もったいないにもほどがあります。
 他の出版社にも見習ってほしいですね。でも、それができないのは、倉庫に限りがあるから、というのも理解しております。

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 さて、肝心のグンと岬は、それぞれ大衆の面前で、「嫁にする」「旦那なする」と宣言します。
 グンはこのとき、おそらく小学校の真ん中へん、岬は中学を卒業して海女になったばかり、という年齢ですが、2人の未来に幸あれ、ですね。全4巻

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