漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 エクセル・サーガ ①/六道神士 】

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 腐った世界を是正するため立ち上がったイルパラッツォ。理想推進機関アクロスを立ち上げます。しかし、いきなりの世界征服では愚民がついてこれないと判断し、まずは1国、いやいや、もう1歩踏み込んで、まずは市街征服に乗り出します。

 読み返してみて、最初は「某」と表現されていたことに改めて驚きましたが、場所は明確で、福岡県福岡市です。

 アクロスの構成員は1名。エクセル(コードネームであり、エクセルは日本人)という若い女性です。さっそく市街征服のための命令を受けていたのですが、エクセルは携帯電話でバイト先から急遽の呼び出しを受けます。

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 バイト先は、工事中の道路における交通整理。しかし、誘導に失敗して大事故が発生、クビになります。

 新たに新聞配達のバイトを始めますが、初日から大雨。流されてきた子犬をエクセルは非常食として捕獲、以後、一緒に暮らすことになります。


 イルパラッツォは、新聞の求人広告でハイアット(コードネームであり、ハイアットも日本人である)という人員を新たに雇用しますが、健康状態の確認を迂闊にも怠ったため、彼女は出社初日に目の前で血を吐いて倒れてしまいます。病院に通っている様子は描かれてないのですが、常に大量の薬を常備し、飲み続けています。

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 さて、彼女たちは社宅と称するアパートで一緒に暮らし始めます。

 次に受けた命令はごみ問題の調査です。ちょうど燃えないゴミの回収日だったため、エクセルとハイアットは、貧乏のため所持していない家電製品の収集に精を出します。
 しかし、何らかの原因でゴミ集積所から火災が発生、たまたまそばにあったポリタンの液体をぶっかけて火災の鎮火に協力しようとするエクセルですが、ポリタンには「ハイオク」の文字が。
 取り急ぎ脱兎のごとく去り、戦果(カラーテレビ、掃除機等)をアクロス基地に報告するのでありました。

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 ところで、F県(福岡県)F市(福岡市)に設立された「市街安全保証局」責任者である蒲腐博士は、悩んでいました。巨額の(多分)予算を投じてせっかく設立した安全保証局にも関わらず、敵対者がいないのです。そこへ、アクロスが「市街征服」の予告チラシをタイミング良く撒いてしまいました。

 これを敵と認識した蒲腐博士、さっそく市街安全保証局を始動。といっても、どうやら人員募集をようやく始めたらしいことが、あとでわかります。

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 エクセルとハイアットがコンビでバイト中に、イルパラッツォから緊急呼び出しの電話がかかってきました。

 シフト交代にまでまだ時間があり、緊急呼び出し応じれば職場放棄となって、クビ間違いなし。仕方なく2人は自主的に現物支給を受け取りアクロス基地へ。そこでイルパラッツォから告げられた緊急事態は、「身近な所に敵がいる」ということでした。

 そりゃあそうでしょう。同じアパートに住む渡辺、岩田、住吉の3人が、蒲腐博士の配下にはいることになるのです。ここに大学時代の岩田の同級生である松屋美咲が加わります。


 その時、イルパラッツォと蒲腐博士は、お互いの存在を「敵」として、認識し始めていたように思われます。

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 さて、市街安全保証局の職員として採用された渡辺、岩田、住吉、松屋の訓練がはじまりました。場所は山中の秘密研修所。新開発(出力不安定)のレーザーガンでの射撃訓練や、地雷源の突破など危険な訓練もふくまれます。

 エクセルとハイアットは、その秘密基地へ「お届け物(時限爆弾)」を運ぶ命をイルパラッツォから受け、現地へ向かうのですが・・・。


 屋外で訓練中のため研修所は無人、研修生のために設置された「訓練コース」の表示を、イルパラッツォが自分たちのために用意したものと勘違いした彼女たちは、地雷源へ突入。無事(でもなかったが)突破し、ゴールへ。

 そこが最終目的地とまたまた勘違いしたエクセルにより、時限爆弾のスイッチが押され、結果として山がひとつぶっ飛びます。
 しかし、市街安全保証局のメンバーは、出力不安定なレーザーガンの危険性を考慮し訓練を一時中止していたため、時限爆弾の被害は皆無。

  方法は不明ですが、状況をイルパラッツォは把握しており、「あの威力で、なぜはずす?」と、作戦失敗に頭を抱えます。

 こうして、秘密結社アクロスと、福岡県福岡市市街安全保証局との、長く激しい(あまり激しくない時も結構多い)戦いが始まるのです。

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 ところで、そもそもエクセルもハイアットも、アクロスから活動資金などは出てないようで、いつも生活苦ネタが出てきます。

 選挙事務所でバイトをしたり、ほぼPHSが当選する(つまり契約者を増やす)バイトをしたり。イルパラッツォの命令でニセ看護師として病院に潜入したり・・・、いや、これはお金にすらなりませんね。


 3巻のラストになって、ようやくアクロスと市街安全保障局との直接対決と時が来ます。とにかく地下に入って調査せよと蒲腐博士に言われて出動した岩田達、アクロス本部に鳴り響く侵入者を知らせるアラート。


 侵入者を阻止するための装置を作動させるレバーやスイッチ類のある部屋で、適当にいじるエクセルと、最終的にその謎の地下道に水が押し寄せる装置の作動により海岸まで押し流されて窮地を脱した保障局のメンバー。
 とりあえず引き分けという所でしょうか。

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 勝負は引き分けですが、その「趨勢」は微妙です。振り込まれた給料をおろしたとたん、ハイアットが銀行強盗に人質として拉致されます。エクセルが救出に向かい、強盗犯をトラウマに陥れいれてハイアットを奪還しますが、もちろん、市街安全保障局との小競り合いとは、関係ありません。

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 保障局にはショートヘアーの美人秘書、百道が加わります。有能なのは確かですが、完全に蒲腐博士の趣味人事。アクロス対策になるのかどうかは未知数です。

 
 そして、アクロスと安全保証局の、今回の接近遭遇は夏のプールでした。お互い遊びに来てただけなのですが。
 局の渡辺がアクロスの2人とアパートの部屋が隣同士であり、綾杉(ハイアットの偽名)のことを気に入ってるのです。プールのような限られた場所ですから、お互い偶然にも同じ日に遊びにきてれば、顔もあわそうというもの。
 そして2人は、パラソルの下で飲み物を注文し、会話を楽しむはずが・・・。
 渡辺は急に倒れて、医者から「マズいかもしれんぞ」とまで言われてしまう始末。
 よーく本を読み返して見ると、「このジュース、とっても美味しい。せっかくですなら、少し飲まれますか?」という伏線が張られており、当然そこには、ハイアットが常用してる大量の薬がハイアット自身により投入されてたことは容易に想像がつきます。
 薬物大量接種による急性薬物中毒ですね。全治1ヶ月とか。まずはアクロスにアドバンテージです。
  そして、いきなり、冬。休載していたのか、それとも夏の話題に時間がかかりすぎたのか。
 場所は雪山のペンション。エクセルとハイアットはバイト中。何故かそこをスキーの宿泊場所に選んだ保障局の男子3人は道に迷い遭難。
 ペンションのオーナーはスキンヘッドの強面で、元傭兵。傭兵時代の仲間の想い出の品として手榴弾を所持しており、非常食用ワンコのメンチがなぜかついてきていて、ピンを抜いてしまいます。そして、ペンションは大爆発。
 メンチの仕業ですから、仕組まれたものではないものの、遭難したおかげで保障局のメンバーに被害はなく、アクロスの2人やオーナーも逃げて、負傷者はなく、とりあえず引き分けです。

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 なんだかよくわかりませんが、テレパシー的ななんらかでお互いの存在を認識したイルパラッツォと蒲腐博士の対立は続きます。アクロスは2度目となる爆弾を用意しました。前回は送り届けてからスイッチを押してカウントダウンが始まるタイプの時限爆弾だったようですが、今回は既にタイマーが起動しており、所定の時間までに所定の場所に届けるよう、エクセル達は命を受けます。

  しかし、道に迷い、間に合いそうもありません。

 一休みしながら対策を考えている最中に、ハイアットが吐血。地面に置かれたアタッシュケース型のそれは、血みどろになります。往来に存在するものとして、それはきわめて怪しい代物に見えます。

 しかし、保障局には、新兵器が導入されていました。コンピューター工学の第一人者四王寺五条によって製作され、「六本松」と名付けられた人型ロボットです。超ハイテクAIが搭載されており、時限爆弾の解体・無力化も可能。ただ、納品前にアクシデントがあったため、爆弾の解体に失敗、大爆発を引き起こしてしまいます。

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 六本松の機体(後)も崩壊したため、とりあえず六本松2式(前:フルスペック装備になっていないため、軽量である)で、納品しなおされました。

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 その六本松の歓迎会の会場となったのが、こともあろうに、また、エクセルとハイアットのバイト先のステーキハウスです。
 牛をバラしてこいと店長に命を受けたエクセルがそれに失敗、店外に逃げた牛を避けるためにハンドルを切ったトラックがステーキハウスに激闘。全てがまた終わります。なにもかも台無しになるのが、この作品の本領なのです。

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 同じ街に住み、いや、同じ街どころか同じアパートに住んでるわけですが、保障局とアクロスは常に微妙な接点があり続けます。


 花見のエピソードは省略して、鳥人間コンテストのお話。優勝賞金100万円に目がくらんだエクセル達はこれに出場するのですが、会場係に保障局のメンバーがかり出されます。
 結果、エクセルは優勝しますが賞金をもらい忘れたまま帰宅、ハイアットはそのまま魂が天に昇ってしまいそうになります。メンチも犬用の機体をエクセルから授かって参加しますが、「鳥犬コンテスト」ではないので失格。そのままどこまで飛んでいったのかわからなくなってしまいます。

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 優勝賞金の行方は漫画の中ではドサクサに紛れてどうなったのかわからないままですが、とりあえずエクセルたちは次のイルパラッツォの指令に従い、新たなアクロスメンバーがいるらしいペンションに向かいます。

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 そこでも新人パートと間違えられてコキ使われますが、3人目の隊員であるエルガーラも何故か従業員として働いており、お互いに張り合って仕事をします。また、この断崖絶壁の上にあるペンションで、メンチとも再会。こんな所まで飛んできてたんですねえ。
 ちなみに、このペンションのオーナーは雪山のスキンヘッドのオーナーと同一人物で、支配人としてメーテルそっくりな新たなキャラが登場します。
 そして、このペンションもまた、火事で無くなってしまうのでした。

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(つづく)