【 熱風のカザン/宮尾岳 】【 KAZAN/宮尾岳 】
砂漠を旅する少年カザンは、盗賊に襲われている王女ファーナ一行に出会います。腕っ節には自信のあるカザン、砂漠では貴重な水と引き換えに、王女一行を助けることに。
盗賊の一味は全滅。しかし、度重なる盗賊の襲撃で徐々に王女一行もその人数をへらし、とうとうファーナ王女一人になってしまいました。
しかも、荷車は戦闘のどさくさで崖から転落、食料も水も無くなってしまいました。
しかし…。
ファーナには無から水を生む能力が。
どうぞ、と自らの能力で作った水をカザンに差し出した途端、カザンは王女を「この、悪魔!」と、罵り襲いかかります。
(水を作る能力者を悪魔と呼んだ理由は、父親が水の悪魔に殺されてるからです)
やがてカザンは事情を知ります。ファーナはオルトア国第三王女で、水を生む能力を生まれつきもっています。この力を役立てるため、ゴルディンという都市に向かわねばならないのです。そして一生をゴルディンで水を生むために費やすのです。そうしなければ、砂漠に村を作り、生活を営む人々が滅びてしまうからです。
ファーナの運命を知ったカザンは、そんなの身売りじゃねーかと叫びますが、王女は自分の運命を悟り、全うする覚悟ができていました。
そして、オルトア国への2人の長い旅が始まります。
荒くれ者に襲われる度、体格に恵まれ無いカザンは、「ガキはすっこんでろ」みたいに言われますが、カザンは戦います。その時の決め台詞、「俺の名はカザン。ガキじゃねえ!」が、かっこいいんですよ。
併録作品も含めての一冊。未完作品。
でも、「KAZAN」と改題して別途再連載。全7巻で完結しています。壮大なファンタジーです。
KAZANのラストシーン、水に抱かれた秘密(?)の部屋の描写の美麗さには、しばしページをめくる手がとまりました。
リニューアル連載で完結している「KAZAN」はもとより、元作品の「熱風の…」も所持しております。これは貴重品です。
最近は下町の自転車屋を舞台にした「並木橋通りあおば自転車店」(シリーズトータルで60冊超え)でしか作品をおみかけしませんが、またこうしたファンタジーも描いて欲しいですね。
(60-248)(61-255)