【 百万人の数学変格活用/内田美奈子 】
これがどの程度の名作なのか良くわからないのだけれど、明らかに貴重本だと思います。なにしろ、サンストロベリーコミックスというレーベルで、その中でも話題になった作品ですからね。
今でもネット上で、さまざまな「あらすじ」「解説」「作品紹介」が出てきます。
購入時は、「あー、なんか話題にちょっとなったような気がする」と、書店で手に取った程度だったのですが。
微妙な超能力を持つ数学教師と、問題ありの高校生の物語です。
喫煙シーンが多く、いまではあまり考えられませんが、当時は高校生の喫煙というのは、ある意味、反抗の象徴のようなものだったのかもしれません。
授業をサボる、いわゆるエスケープというのも、同じく象徴でしたね。
喫煙する生徒に、主人公の数学教師は「見つかるなよ」と、声をかけて去ることもあれば、バケツで水を頭からぶっかけることもある。まあ、一貫性というより、その場の演出として、どっちが良いかの選択肢だったのでしょう。
ま、タバコやエスケープはともかく、学校に爆弾50個しかける、というのも、当時だから反抗の象徴になったんだろうけど、今はこんなのマンガにするのほ無理でしょう。テロ以外の何物でもないですから。フィクションだからと許されることも時代とともに変わる、ということですね。
作品の趣旨も傾向も違いますが、今でも続いてる「生徒諸君」の「悪たれ団」というのも、根っこは同じところのように、私は思います。
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