【 無敵道/玄秀盛・楠本哲 】
新宿歌舞伎町にワケアリで流れ着いた男女を、理不尽な境遇から救うため、コネと力で、ねじ伏せる堂本。
しかし、そこには、法外な報酬を必要としました。
「おめえの命の価値は、そんなもんなのか?」が、定番のセリフ。
「一生かかっても、お支払します」と、土下差する依頼人に、「その覚悟が聞きたかった」と実現不能とも思える困難な依頼を受諾する堂本。
バイオレンスと人情にあふれた作品です。
最初の依頼者は、キャパ嬢のミルク。女優を夢見て上京するも、悪質なプロダクションに騙され、レッスン料やプロモーション料などの借金を抱える羽目に。
ソープ嬢にまで落とされたのは、ホスト遊びにハマらされたためで、借金は減るどころか増える一方。
ミルクが用意できるお金は50万。「てめえの命の値段はたったそれだけか。話にならねー」と、零時は依頼拒否します。
しかし後日、自力で脱出を図ろうとしまミルク、監視役のチンピラに見つかりボコボコにされ、ほうほうの体で堂本の事務所に逃げ込んできます。そこへチンピラも刃物持参で乗り込んで来ます。
ここからが、零時の見事な逆転劇です。商品(ミルク)に怪我を追わせて商品価値を失わせたことを責め、チンピラを逆上させます。チンピラは零時に刃物をつきつけ、「俺のバックには暴力団がついてる!」と脅しまでかけます。
この時点で実は零時の勝ちが確定します。零時は突きつけられた刃物を素手で握り、「これで、傷害罪と脅迫罪成立だ」
結局、零時はミルクから金を受け取りません。暴力団から示談金をせしめるから、そんなものいらない、というのです。
ちょっとブラックジャック的ですね。
前日憚、後日憚、それぞれ別タイトルであります。
前日譚が「交渉人堂本零時」、後日譚が「REIJI」です。
全9巻。4巻と5巻が未入手です。
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