【 ヤングブラックジャック/田畑由秋・大熊ゆうご 】
賛否両論、というか、好き嫌いの別れる作品では? と、連載当初は思ったのですが、意外と長続きしてますね。
本編へつながる若きブラックジャックが主人公ですが、なるほど確かに若い頃のブラックジャックだと思える部分と、いやいやいや若い頃のブラックジャックはそーではないでしょと思える部分が、あります。
このアリの部分とナシの部分、読者によって違うでしょうね。
それらはきっと、読者ごとに異なるブラックジャックに対する印象や思い入れがあり、その全てに対応することができないからでしょう。
とか感じたのもあって、そんなに続かないと思ってたんですが。
手塚治虫先生自身の作ではないとはいえ、ブラックジャックという人間の生きざまが、やはり、多くの人の興味をひくのかもしれません。
とはいえ、手塚先生が若き日のブラックジャックのお話のプロットなどを残しているわけではなく、新たな作品なわけですし、時代を色濃く反映した社会派漫画となっているようで、独立した作品として評価されているのかなとも思ったりします。
本編のブラックジャックだって、話によっては、「こんなブラックジャックはいや!」と思わせることはあったんですが、でも、それもブラックジャックの一面であると読者が納得したのは、生みの親である手塚先生の描いたブラックジャックだったからです。
しかし、それはどんな作品に対してもあるわけで、後付け創作の場合も同じ、ということなのでしょう。
自分はむしろ、ヤングではなく、その後のブラックジャックを読みたいです。
後日談なら、「こんなブラックジャックはいやだ!」であっても、心境の変化や周囲の状況、またブラックジャック自身も年齢と経験をかさねていった末のことと、納得しやすかったはずだし、それもまた物語の醍醐味と思うからです。
とはいえ、ヤング編は、矛盾なく後のブラックジャックにつなげなくてはならないという絶対条件の中で、物語も面白くしなくてはならないという困難な作品、そういった取り組みには敬意を表します。
物語としては、面白いのですが、どんな風に若かりし頃を描くつもりなのかなという興味だけでしたので、1巻を所持するのみです。
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