【 ハクメイとミコチ/樫木祐人 】
深夜アニメでたまたま観て、大好きになってしまいました。一話完結スタイルの小人さんファンタジーです。
ファンタジーですけど、日常を扱ったハートウォーミングなギャグ(?)マンガでもありますね。
いまある世界そのままに、キャラだけが小人になってますから、そこに出てくる木々や草花は、人間目線のサイズ。つまり、小人さんたちにとっては、巨大! 生活雑貨などは彼ら彼女らにあわせて作られてますから、ちゃんと小さいです。
あと、動物さんたちと意思疏通ができて、一緒に暮らしている(小人文明の構成要素になってる)種もいます。言葉が話せる動物もいますし、特殊能力のある小人とだけ言葉が通じる種もいます。
絵はカワイイし、背景は綺麗だし、心理描写は細やかだし。1日一生懸命働いて、寝る前に最後に観る娯楽として、こんなアニメはまさに最適でした。だって、ここに登場する小人さん達が、まさしく、そうですから。お仕事をして、ご飯を食べて、そして寝る、小人さんたち。人間と同じように暮らしてる。
世界観というか設定は、どんどん広がってゆきます。なにしろ我々読者(人間)は、彼ら彼女らのことを何も知りませんから、新しいエピソードが掲載されるたびに、それは新しく追加された世界観です。
このあたりは、名作ロングランファンタジーだった(完結してしまった)「アタゴオル」に似ています。
「仕事に行く」と言っては、大工さんみたいな仕事をしている親方のような人のお手伝いをしていたり、露天風呂を作ろうと思い立って、木の切り株を使ったり、お弁当だか野外料理用の食材だかをもってピクニックにでかけてみたり。
一緒に暮らしているハクメイとミコチが主人公ですが、友達やゲストもどんどん出てきます。
6巻までは所持してて、今回あらたに7巻を入手。
7巻には、この世界の手紙的通信手段の中で最も高価で速達なのが出てきます。鳥による配達です。鳥使いが鳥を操りその飛翔力とスピードで配達します。しかし、庶民には手が出ません。庶民はあらかじめ抽選に申し込んでおけば当たることありますが、当たったときにお手紙を送る必要があるのかどうか? だから、庶民にとっては、当たってから「誰に何を送ろうか?」と決めるわけで、遊びなんですね。
しかも、鳥の好物を用意して接待せよとか、鳥の機嫌を損ねてはいけないとか、わりとめんどくさいです。
ミコチがお腹を壊して入院したら、良くなっているのに退院させてもらえず、しかも「気が紛れるでしょ?」と看護師のお手伝いをさせられたり、美味しいと評判の病院食は調理人がすっぽかして食べられず、あげくミコチが調理する羽目になったり。
評判のお店に長い間行列して食べたらイマイチだったとか、暗くて深い穴に落っこちたら先客がいて、ハクメイとミコチがサバイバル術を駆使しながら先客と3人で救助がくるまで生き延びるとか、洗濯日和に集合住宅で物干し場所争奪戦があるとか、色々あります。
1話完結で、難しい世界観を表現してるわけでもなく、小人さんのファンタジーだとだけ思ってたら、すぐに楽しめます。
この作品で描かれるのは「さりげない日常」なんですが、小人の日常なんて、もちろん誰も知りません。そして、場所設定は地球上。我々の日常と同じものが周囲に存在します。
未知と既知を上手くブレンドしてあり、飽きさせません。日常ですから、感情の起伏はもちろんあります。しかし、そこにかわいらしさもちゃあんとあります。かわいらしくない小人なんて、魅力ないですからね。作者の創作力、さすがだと感じます。
ただいま7巻まで。以下続刊。
(219-875)