漫画パラダイス

読んだ漫画のレビューなど。基本的には所持作品リストです。

【 7SEEDS ②/田村由美 】

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 物語の舞台は未来から現在に移行し、夏Aチームの育成場面になります。そこは厄災後の未来の地球へ送り込まれる若者を養成するための専門の教育機関で、彼らは現在13歳です。17歳まで訓練を受けて最終テストにより7人が選抜されます。
 飛びっきり成績優秀な安吾は、「昔はもっといた。今は100人を切った」と、全体を観察しています。脱落した者は容赦なく排除されるのです。

 13歳の時点で既に彼らは教え込まれています。人類の未来を救う使命があること、特別に優秀な精子卵子により産み出された子であること、脱落したらこの養成機関から出ねばならす、最終テストまで残れないこと、最終テストで7人が選ばれることなど。彼らには苗字がありません。ファーストネームのみです。食事の度に薬を飲まされていて、当初はサプリメントのような説明がなされていますが、後にスポーツにおけるドーピングに類するものであることがわかります。

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 この日、懲罰房から涼が戻ってきました。彼も安吾と双璧をなす優秀な生徒です。安吾は涼に「茂にちょっかいを出すな」と釘を差します。安吾は茂と仲がよく、一緒に未来へ行くことを望んでいます。茂も優秀なのですが、体力的に劣る面があり、最終の7人に残れるかどうか微妙な位置にいます。そんな茂に、なにかと安吾は世話を焼いています。

 13歳になった彼らは、専門分野の学習に進みます。火、水、風、土、動物、植物、医療の7つの中から2つを選びます。このそれぞれのクラスのもっとも優秀な者が、未来へ行けるのです。
 「水」のクラスなら、飲料水、治水、灌漑、下水、水質、汚染、地下水、水車など水力の利用、そして海についても学びます。安吾、涼、茂は3人とも火と水を選考。この時点でもう3人のうち少なくとも1人は未来へいけないことが確定です。
 他にはもちろんスポーツなどの教科もあります。しかし、球技はありません。基本的に、走ること、泳ぐこと、そして登山です。格闘技もあります。ナイフの使い方(格闘における)なども叩き込まれるようです。

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 授業後の図書館でも彼らは自習しており、未来へのモチベーションは高く保たれています。専門分野の授業が始まると頭角を表すものもおり、動物クラスの源五郎と植物クラスのあゆ(マドンナ)が、月間トップ賞で表彰されます。

 繭、のばら、小瑠璃の仲良し女子3人組は、色違いでお揃いのミサンガを作り、みんな揃って未来へ行くのだと張り切っています。
 小瑠璃は今度ハンググライダーで飛ぶのだと嬉しそうに安吾に語ります。安吾も「外の世界が見えるだろうか」と胸を弾ませます。そして、時々出る脱落者に思いを馳せます。彼らはどこに行くのか、外の世界で馴染んでいるのだろうか、と。

 専門分野の授業が始まって、安吾視点での「色々と専門の教官が増えたと」の記述がありますが、作品内で取り上げられる教官は多くはありません。
 この中で特異なのが、「貴士先輩」と「要(かなめ)先輩」です。生徒達も「○○先輩」と呼んでいて、兄貴分のような存在です。しかも大学生らしいのです。

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 15歳になり、拳銃の訓練が始まりました。安吾と涼は相変わらず何をやらせてもトップクラスですが、運動神経がいいはずののばらが、射撃では結果を残せません。教官の卯波から教官室に来るように言われ、視力検査をさせられます。弾が当たらないのは、視力が落ちてきたのが原因でした。「近視の遺伝子は残せない」と、脱落を言い渡されます。
 水泳の授業のあと、安吾は卯波から、今月のトップ賞は茂であり、安吾はお尻に火がついていると言われます。おまけに鳩尾を不意に殴られ、うずくまったところで「腹筋を鍛えろ」などと捨てぜりふを残します。

 またある夜、安吾と小瑠璃が雑談をしているところへ卯波が通りかかり、小瑠璃の胸を掴んで、言います。
 貧弱な胸、初潮もまだだろう? 子供の産めない女はいくら優秀でも決して選ばれない、と。
 これにはさすがの安吾もキレて、卯波に殴りかかります。(おそらく)要と貴士がとめに入りましたが、既に卯波は何発も殴られたあとです。
 安吾は卯波から懲罰房行きを命じられます。しかも、「普通のじゃつまらん。赤い部屋へぶちこんでやれ」

 そこは胸まで届く赤くてドロリとした液体に満たされた部屋。「家畜なんかの血や骨や脳や臓物の一部をためる装置だ。粉々に砕いて混ぜて肥料の足しにする」と安吾は説明を受けます。
 そして安吾はその中に、赤いミサンガをつけた、のばらの手首から先を発見するのです。安吾は全てを悟ります。脱落した生徒は外の世界へ行くのではない。殺され、肥料にされるのだ、と。

 またその夜、涼と虹子は職員室に忍び込んでいました。
 文明崩壊後の未来世界には必要がないので、パソコンの授業などはありませんが、虹子は涼とともに職員室に忍び込み、情報を引き出そうとしています。虹子は何度も忍び込んで、少しずつ覚えたようです。これ以前に、外界の様子を知る手段としてテレビがあることが示されており、外出はできないにしろ、100%隔絶された世界でもないようです。

 そこへ、要と貴士がやってきて、二人は隠れます。要と貴士は、誰かが忍び混んでることに感づきながらも、情報が漏れるような会話をします。

 ○ 他のチームはこの養成機関からは選ばず、一般から選ぶ。同じ環境で育ったものは、あるひとつの原因で全滅する恐れれがあるから。
 ○ 全体の中の一部が優秀というのがバランスがいい。ただし、その場合、どこかに「死神」を入れるべきと考える。死神とは、未来世界の暗殺者で、生きる望みを失ったものや、回復を望めない大ケガや大病を患ったもの、不穏分子や和を乱す者などを排除する役割を持たされた者をさすと思われる。
 ○ 最終テストをこのまま実施したら死人が出るが、それでいいのか? 優秀な者が死んだらどうする? 死んだら優秀ではない。生命力がためされるのだ。
 ○ この施設は金持ちのとある大臣の私有地。

 貴士と要は、誰かが職員室に忍び込んでいるとわかってて、これらの会話を交わしていました。情報をどこから得るか、どうやって得るかも、大切な要素、ということのようです。

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 彼らは17歳になり、テストはいつ始まるのだろうかなどと会話が交わされるようになってきました。
 涼と虹子は食堂で食事をしなくなり、校庭(屋外)でバーベキュー(自炊)をしています。調理当番のために厨房へあゆがいくと、毒のあるものが食材として用意されてることに気づきます。木製の小さな獣の置物があちこちに置かれていたり、花札のカードが落ちていたりすることもありした。何故だろう、何だろうと考え始める生徒もチラホラ現れます。旧校舎の窓辺に光るものを見つけた安吾が見に行くと、ガラス製の水の入った花瓶を発見します。こんなものをこんな所に置いといたら火事になると、安吾は危機感を抱きます。

 射撃訓練の前に銃の分解整備していた安吾は、銃身にヒビが入っていることに気づきます。周囲に注意を呼び掛けたときには既に遅く、誰かが暴発した銃の犠牲になりました。
 増水した排水溝に落ちたり、厳寒の夜に風車の修理を命じられた生徒が暖を取るための七輪で一酸化炭素中毒になるなど、死者か続出します。何かのメッセージのように木彫りの獣や花札のカードが見つかります。木彫りの獣はどうやら十二干のようです。
 そして、夜中の火事。みんなが宿舎から焼け出されます。薄々勘づいていたものの、あゆから言われて既に最終テストが始まっていることを確信する安吾

 みんなは焼け残っている校舎に避難を始めますが、そこは別の原因で崩壊し、何人かが巻き込まれます。いつの頃からか先生を見かけないことに気づきます。動物クラスで飼育していた動物達は囲いなどを開け放たれ、いなくなっています。この中には毒を持つものや、肉食の猛獣もいます。まさしくこの様々な出来事がテストそのものと気づいた生徒達は、「どうすれば合格なのか」「何が正解なのか」と考え始めます。
 木彫りの動物や花札のカードか示唆するものを読み取ってそれぞれ行動に出ますが、何も考えない者もいます。成績優秀な安吾についていけば安心・安全と考える連中です。その安吾の行く先には、深い渓谷に架けられた今にも崩れ落ちそうな吊り橋があります。そして向こう岸には、別荘かなにかの家屋が見えます。時期は冬。寝床が確保できるのは助かります。安吾は、メッセージが示唆するものは「そこへ逃げ込むこと」であり、「危険な吊り橋を安全を確保して渡りきる」ことだと考えます。

 その時、背後には動物が迫っていました。虎だの熊だの叫ぶ者もいましたが、見ると野犬です。どうやら狂犬病に冒されている様子です。ボロボロの吊り橋を安全確保策をとる間もなく、一行は野犬から逃れるために渡ります。
 追いかけてくる野犬。安吾は仕方なく吊り橋を落とします。しかし、渡りきったそこにある家屋は廃屋でした。それでも雨風がしのげるだけマシです。ただ、三方を崖に囲まれており、唯一の退路である吊り橋は自らの手で落としています。廃屋のある一角に閉じ込められた形になりました。
 これまでの火災や事故は、試験のために先生達が仕込んだものかもしれません。だとすれば、逃げ場の無いこの地で、崖が崩れて襲ってくるのは目に見えています。安吾は茂とともに渓谷に降り、そこにあったカヌーで逃げます。安吾に続く者もいましたが、予想通り崖崩れに巻き込まれた者もいました。

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 別方向に逃げていた小瑠璃や繭たちは、坑道の入り口に導かれます。「この中に入れ」というのが試験の課題だと判断した一行も罠に落ちて行きます。崩れる足元。一段下の坑道へ落ち込みます。元の道に這い上がることは不可能。もう出口はわかりません。いくつにも枝分かれした道。坑道内の番屋に用意された拳銃。坑道に入った一行は混乱を極めます。

 また別の動きをしている者もいます。あゆです。女性陣の中ではいじめられる存在だったあゆ(マドンナ)は単独行動をしようとしていたと思われますが、ついてきた女2人に、食料の採取や調理などいいように使われます。しかし、その二人が自分達で枝から作った箸が毒を含んでいて自滅、あゆだけが生き残りました。
 源五郎もまた単独行動をしていました。彼は、足を骨折して動けなくなった生徒に呼び止められます。リタイヤすべく先生に連絡をとりたいと彼は言います。源五郎はどこかでモニターしているであろう先生に呼び掛けます。
 そこへ現れた卯波が言います。「リタイヤはできない」
 では、このテストはいつまでやるのか? とうなったら合格者の7人が決まるのかと、源五郎は質問を変えます。
 「決まってるだろ。7人になるまでだ」

 この試験には、課題もなければ、合格の基準もありませんでした。生き残りが最後の7人になるまで続くのです。木製の干支の置物も、花札も、勝手に解釈をした生徒達がバラバラに行動するよう仕向けるアイテムだったのです。
 坑道組でたった一人生き残った小瑠璃は、ハングライダーで仲間の元へ飛びます。目印とメッセージ送信のために繭は懐中電灯でモールス信号を送りますが、小瑠璃が降り立ったそこにいたのは崩壊した岩石の下敷きになり、瀕死状態の繭でした。そこへ通りかかった安吾、「のばらは、どこ?」と迫られ、のばらの死の真実を語ります。
 脱落した者はみんな殺された。他にもあちこちで大勢死んでいると、凄惨なテストの現実を伝えます。
 小瑠璃は怒りに任せてハングライダーで飛び立ちますが、ワニがたくさんいる池に落ちます。それをひきあげて助けてくれたのが、涼とあゆでした。
 その時の小瑠璃の言葉は強烈でした。「先生達はどこ? ぶち殺してやる」
 涼も同意します。「面白いな。俺もつきあうぜ」
 貴士と涼は、ナイフを手に、殺し合いにもなったりします。生徒同士の生存争いも発生します。専門クラスから一人も生き残れないと困るということで、小瑠璃は保護されました。
 そして、岩登り。安吾、涼、茂の3人のうち2人しか残れないという状況の中で、岩登りの最中、つないだロープで中吊りになった茂を、涼がロープを切って茂を見殺しにすることで、ようやく生存者が7人になり、試験が終了しました。


 夏Aチームに残ったのは、安吾、涼、鷭、源五郎、あゆ、小瑠璃、虹子。
 仲間を見捨てたり、殺すも同然のことをせざるをえなかったりしながら、生き残りました。卯波が祝辞を述べる中、辞退者が続出します。
 卯波は「バカヤロウ」と小瑠璃を殴り付けます。飼育した猛獣を殺さざるをらえなかった源五郎にも、「お前が勝手に殺した」だの「自己満足」だの「些細なこと」だのと非難します。
 涼が「ぶっ殺してやる卯波」と叫ぶのを取り押さえられ、部屋から引きずり出された後、虹子は要の名字を質問します。百舌戸と答える要。あの施設一帯をの土地を持ってる大臣と同じ名です。叔父にあたるとのこと。
 貴士が東京へ帰る日、要は見送りに、妻の美帆は出迎えに、空港まで来ていました。「花」と名付けた女の子の赤ちゃんを連れています。貴士は「できればこの子も未来に行かせたい」と呟きます。その後、幼児に育った花が、貴士と要と一緒にキャンプをしているシーンになります。花は要になついており、知らず知らずのうちに、アウトドアの知識を要から伝授されます。「花に恋人ができたら、一緒に未来に送ってやればいい」などとも会話を交わしたりします。

 そして、未来。
 夏のAチームがコールドスリープから目覚めます。その7人にガイドとして同行していたのは、卯波でした。
 その場で卯波は射殺され、夏のAチームはガイド無しで、未来の地球におりたちます。

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 島から筏で船出した花、ハル、新巻は、やがて黒くてドロリとした海を進むことになります。時おり、灰が降ってきたりします。立ち寄った物資倉庫にはほとんど何も残されておらす、置き手紙がありました。数日前から灰が降り始めて積もり、そこから火が出て山は燃え水は汚れ、地面は泥沼になり、暮らせそうもないので移動するという春のチームのものでした。

 次に3人が着いたのは、神戸富士の物資倉庫をベースに作っていた秋のチームの村でした。ここも灰に降り積もられて荒廃し、もはや無人です。生きるための拠点にしようと作られた村がもうふたつも壊滅していたのです。
 元高校球児の新巻は、甲子園の跡地でしばし感傷に浸ります。
 その後、降り積もった灰の上に残された足跡を発見します。足跡を追うと地下へ通じるらしい穴へと続いていました。灰が降る外よりましだと、地下へのルートを辿ると、そのにはプラットホームと横付けにされた鉄道車両がありました。地下鉄のようです。ただし、駅名標がありません。ここがどこだか知る手掛かりが何もないのです。
 人の声がする方へ進むと、秋のチームが2派に別れて争っているところでした。止めに入る花たち。その時、地下の一部が崩壊しました。

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 くるみが妊娠したことで、自分達を未来へ送り込んだかつてのお偉方の思惑どおりに「子供を作って再び人類を繁栄などさせるてやるものか」と思っている秋ヲや欄たちと対立し、くるみと彼氏の流星、茜、そしてガイドの十六夜が分裂したのです。
 秋ヲ達に襲撃され、最後のアジトへ移ろうとする流星たちに、花たちも同行します。
 妊娠した女の子を守ろうという分裂秋チームなので、少しは人間味のある対応をするのかと思えばそんなことなく、花たちにも決して友好的な態度は示しません。
 地下深くに穿たれた立体駐車場があり、満潮になると海水で満たされるので、ボートを持ってるなら先を見に行けという「ハルを人質にとって」の脅迫まがいの命令に、助け合って生き抜くべき場所なのだから、頼まれればいくらでも協力すると、花は憤慨します。
 ともあれ、花、新巻、十六夜の3人が駐車場の奥、音のする方へ進みます。秋ヲ、欄、朔也に襲われボートを奪われた花たちは、それでも浸水してない通路を見つけて先に進みます。
 そこで見たものは、人の身長よりはるかに大きな換気扇と、その先に広がる巨大な植物群、そして煌々と照らす多数の照明です。人の気配はないものの、照明の明かりで植物を育てようとしていた畑です。新巻はさっきのホームに、駅名標だけでなく点字ブロックがなかったことにも気づいていました。あの鉄道は一般のものではなく、ここは地球規模の厄災から避難して暮らすためのシェルターであり、鉄道はシェルターのための専用線だと指摘します。

 実は作品内では、7つの富士の物資倉庫も「シェルター」と称されていますが、この避難シェルターと区別するため、僕は「物資倉庫」と記述してきました。今後も同じ使い分けをしていきます。
 畑を出ると地下通路が延びており、突然、照明がつきました。コントロールルームに進入した秋ヲ達が、パソコンを起動させて電源を入れたのです。
 シェルターも春夏秋冬のセクションに別れていて、起動したパソコンでそれらの構造を知る秋ヲ達。一方、花達は歩を進め、大きなバッテンが描かれた冬のセクションの入口の扉をやり過ごし、春のセクションの扉の前にやってきます。そこには干からびたミイラと、一冊のノートがありました。
 そのノートには、このシェルター「りゅうぐう」の、一部始終が記録されていました。

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 このシェルターの実質的な責任者は、夏Aチームの教官だった貴士のようです。表向きは、売れない役者を「死ぬまで演じる」という条件で雇って所長に据えていました。貴士の妻、美帆もまたこのシェルターで働いています。
 他に「最後の最後まで君は芸人でいられるか?」とい条件を出して腹話術師を、この他に歌手や漫画家や野球選手なども連れてきていて、何年かかるかわからない地球環境の復活まで、娯楽も含めて避難者をここで生活させようとしていたのです。
 地上とは完全に隔絶されたこの世界。息苦しさを感じる連中もいます。隠れてタバコを吸ったり、厳しい警備の目を盗んでの脱出が不可能と知るとドリルで穴を開けて脱出路を作ろうとする者も現れます。
 ドリル掘削で強度バランスを失ったシェルターへ、地下水が大量流入してきます。その区画を閉鎖して難を逃れますが、閉鎖区画は水没、そこに閉じ込められるしか手がなかった美帆は死亡、貴士は妻を失います。

 施設の一部を失ったシェルターは食料不足が発生し、自給自足循環システムも不完全なものとなり、未知のウイルスによる病の蔓延などもあって全滅します。
 ウイルスに冒された人々を冷凍庫に閉じ込めていたのですが(冬のセクション)、そのことを知らない秋ヲ達によって、何らかの物資が調達できないかと期待して開けられてしまいます。ウイルスはシェルターがまだ稼働していたときに「冷凍すれば活動しないが死滅するわけではない」ことが研究者により解明されて、ノートにも記録されています。冬セクションの扉を開けさせまいと走った花達ですが、間に合わなかったのです。
 ほどなくして、火災が発生します。何年も使ってなかった施設に急に通電させたために起こった電気火災かもしれません。スプリンクラーが作動します。あちのちが弱っている施設に高圧の水が流れたせいでしょう。施設の崩壊が始まりました。
 花の判断力と行動力で、花、ハル、新巻、そして秋のチームは脱出に成功します。

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 地上に出た一行は、火を焚いて一息ついていました。そこへ、白づくめで、マスクにゴーグルまでした、表情の全く読めない異様な集団がやってきます。夏のAチームです。背中に背負った荷物も他のチームに比べて異様に大きく、サバイバルのための様々なものを装備しているのでしょう。地下からの脱出行で疲れ果て、ようやく得た休息の時間を思い思いのポーズで過ごしていた一行を威圧感たっぷりに見下ろします。
 自分達は特別な訓練を受け、しかも勝ち残った集団。しかしこいつらはただの一般人。未来に生きる価値が本当にこいつらにあるのか? そんな空気がありありと伝わってきます。
 未来へ送り込まれて生き残った者どうし助け合いましょうなどという雰囲気は微塵もありません。空気がぴりぴりと凍りつきます。

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①はこちら ↓

http://zukuzuku.hatenablog.com/entry/2019/03/18/021454