【 ロマンス地獄/むつきつとむ 】
「ロマンス」で「地獄」だなんて、なんてタイトルなんでしょう。「ロマンス」ばかり次から次へと襲いかかってくる「天国」なら、歓迎なんですねどね。
摩耶は妹の美弥の経営する喫茶店「浪漫棲」の客の入りが悪いことに気を病み、ある日、客足をつかむためにメイドコスプレで登場します。
見とがめた美弥はさっそくクレームをいれますが、「お姉ちゃんの分もあるよ」と、摩耶はどこふく差風。
おまけに、「ノボちゃん(妹の恋人)も期待してる」とか適当なことをいうものだから、部屋の片隅でノボちゃんは頭を抱えます。
妹の美弥は、目がねっ子で黒髪ロング。正統派な印象の姿。表紙絵ではこちらが姉に見えますが、逆です。
姉の摩耶は茶髪でオチャメで、コスプレ提案者です。
表紙絵では、髪色がちがってますが…、うるはいことは言わないように。
むつき先生の作品のキャラは「可愛い」系と「美人」系に大別されるのですが、ここでも典型的です。しかも、ロリっぽくかわいい系で天然の方が姉、という逆的(あるいはギャグ的)設定なのです。
そして、お約束の三角関係。姉妹でひとりの男をとりあいます。
どっちと結ばれてもハッピーエンドなんでしょうが、はたしてノボちゃんの気持ちは、どちらに傾くのでしょうね?
この作品あたりからでしょうか。むつき先生のストーリー性へのオーダーが出てきてるのではないかと思います。
「ロマンス地獄」ではまだ、エロ漫画必須の「毎回、そういうシーン」が求められてるようですが、以後、徐々に「エロコメ」から「ラブコメ」路線への移行が感じられるようになってくるのです。
そうすると、物語としての面白さがより全面に出しやすくなってくるんですよね。
そして、「エロマンガコーナー」から「一般マンガこーなー」へ、、設置場所まで変わってくるんですよ。
「エロ」から「恋愛もの」へ。その切り替え期にあたるのが、この作品かと思われます。
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